生田波美音選手、今年の3勝目はまたも3号艇。


温暖湿潤気候まっさかりといった日本列島において、年がら年中水しぶきを浴びて濡れ濡れの毎日を過ごしている女子ボートレーサー達。毎日どこかでピットアウトのファンファーレが鳴っているこのギャンブル共和国、その首都で、元最年少レーサーの生田波美音選手(18歳/東京/B1/124期)がまた勝った。

東のメッカ、平和島の水は、温く湿り、空は暗く……

2021年7月6日。七夕待ったなしのこの期に及んでもどんよりと曇り空が広がり、時にはシトシトと、場合によってはバケツどころかメンコをもひっくり返す勢いで風雨が降りつける首都東京のボートレース平和島において、G3平和島レディースカップが開催最終日を迎えていた。

多摩川フレッシュルーキーの生田選手は、しかし平和島でも昨年末に1勝を挙げており、三つのレース場を擁する東京支部の旨味をしかと噛み締めながら、ボートレーサー人生を着実に歩んでいるといえる。東京支部ならではの慈悲深い味わいがあっても尚、A級レーサーへの道は険しくて長い。

今節の生田選手は、2着一回4着一回、5着と6着が二回ずつ、そしてエンスト失格が一回と、まぁ苦々しいといえる成績を残していた。最後くらいはドカンと1着かましたいところである。何しろ高い事故率を一因とするスランプは既に脱しているし、このところは女子戦ばかりだったとはいえ、ピット離れの遅さも目立たなくなっている。曇天にも季節にも似合わぬ大花火を、ここらで打ち上げて欲しい、と願った舟券師たちもいたのではないだろうか。

出走表のバランス感覚にデジャヴが……

最終日は第7Rの一回走り。メンバーは以下の通りとなっていた。

BOATRACEオフィシャルウェブサイトより。

かつて何度かA級に上がり、G1レースで勝ち星を挙げたことも一度や二度ではなく、女子戦とはいえG3での優勝経験すらある、しかし58歳となって流石に苦しくなってきたのかB2級の憂き目に遭っている古豪が、一号艇に乗船する一戦である。二号艇には生田選手と同じ東京支部所属の人妻が入り、生田選手本人は三号艇だ。

この出走表にビビッときた舟券師も多かったのではないか。何を隠そう、直近の勝ち星を挙げたレースとの類似点が多いのである。

BOATRACEオフィシャルウェブサイトより。2021年6月10日江戸川第8Rの出走表。

上掲の出走表は、ついこの前、生田選手が今年の2勝目を挙げた際のものである。一号艇には50代のB2選手。生田選手は三号艇。五号艇にA1選手が配されている点まで、今回と全く同じなのだった。

そうなると、今回も前回同様、やんちゃな若さを全身に迸らせた生田選手による、カド受けからの捲り一閃、という展開が容易に想像できる。彼女がレジェンドクラスのベテランや同支部の先輩等に一切忖度しないことは、前回の勝利で詳らかに明かされているのだ。

となれば自ずと……。まるで進研ゼミの漫画だ。

そしてその様子は当然の如く再現された。内三艇の中で.05のトップスタートを決めた生田選手は、その勢いを維持し、最初のターンマークで一捲りに白黒の二艇を飲み込んで見せたのである。

BOATRACEオフィシャルウェブサイトより。三号艇生田選手は、外四艇とほぼ同じスタートタイミングに過ぎなかったが、何よりも内が後れを取ったことが功を奏した。しかし、全逓、一般戦とは思えぬギリギリを攻めた激熱スタートであった。
3枚とも、ボートレース平和島のレース動画より。一周目1マーク。当たり前だのイン逃げをまったりと打つ大先輩に、そして定石通りの差しハンドルを入れる直属の先輩に、まとめて引導を渡すかの強襲の模様。
B2級の大老選手が抵抗出来なかったこともあろうが、文句のつけようがない綺麗なツケマイであった。

五号艇のA1選手が舟券に絡めなかったこともあり、3連単は2万舟券となったが、生田選手が最近いかにして勝利を収めたか、を記憶していた舟券師は、かなり豪勢な夕食にありつくこととなったのではないだろうか。

赤いカポック…!?まさか、通常の何倍かで……?

ここまで生田選手が積み重ねて来た通算14勝のうち、一般的に最も勝ちやすいと言われる一号艇で挙げた勝利は、その1/3強となる5つ。対して、三号艇3コースでの勝利は本走を含め4つもあり、生田選手は一号艇の他は断トツで三号艇3コースが得意、ということになりそうである。1着率で考えるとさらに分かり易く、一号艇もしくは1コースが17%程度あるのは、……一般的には低調な数字ながらも……、流石に別格として、二、四、五、六号艇との比較で下表を参照されたい。

2枚とも、艇国データバンクより。三号艇に生田選手が乗ると、二、四、五、六号艇乗船時よりも1着率が大幅に向上することがわかる。
生田選手の1着率が二桁%を記録しているのは、1コースと3コーススタートの場合のみである。

現在のところ、一号艇では18連敗中の生田選手。この間、2着にも7回しか残せておらず、苦手意識が伺える。ピット離れとスタートのムラが重たい足枷となっているのだろうが、今後、もしかすると三号艇の1着率が、一号艇のそれを上回ることにすらなりかねない。そうなると、真っ赤な情熱、燃える闘魂、長身ファイヤートーチといった二つ名が付くことになるのだろうか。次節は西の本場、ボートレース住之江で開催となるヴィーナスシリーズ第8戦、「2021MBレディスカップ」に顔を出す予定だ。赤いカポックとなれば人気薄でも要注意だろう。


労働階級からの解放を志し、収入のアテもないのに突然脱サラ。後先考えないその姿勢に後悔しきり。

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