アツいとは何か


激熱と名乗る演出がある。液晶画面でこの二文字が踊ったり、声優さんが「ゲキアツ!」と教えてくれたりする。

教えてもらって恐縮ですが

ああそうなのか、これはアツい演出なのだな、と思わされることの是非を問いたい。親切という向きもあろうが、逆に、機械の方から演出の重みを教えられることで、「ささ、旦那、数ある演出の中でこれがもう、最もおアツいところとなってございますんで、是非、どうぞどうぞ、お待たせしました、さぁもう、決めちまいましょう!ね!」とお節介を焼かれている気にはならないか。

そして、激熱というからには、決してボーナス確定であったり大当たり濃厚であったりはしないわけなので、外すことがある。それは仕方がない。仕方がないが、ついさっき激熱だと唆されていた方からすると、なんだかとても恥ずかしいし、情けない気持ちになるのだ。「えぇっ!?だ、旦那、激熱だったんですよ!?は、外れ?うっわぁ旦那ツイてないっすねぇ、てか、センスないっすね、正直。これ、この演出外す人なんて、本当もう、稀っすよ、ほんの一握りのクズだけっす」と、機械や店員、他の客、皆から馬鹿にされているかのような気分に陥るのだ。

同様の違和感で、「CHANCE」等と言われる演出もあるが、こちらは外れるのが至極当たり前であり、余りにも雑魚い戯言なのでゴミ箱周りに追いやっておく。

「激熱です」と機械側が、つまり楽しませる側がわざわざ宣言するというのは宜しくないのではないか。アツいとは、そういうことではないのではないか。アツいかどうかは、いま身銭を磨り減らして頑張っている、遊戯者が自ら感じとるべきことであって、押し付けられるものではないだろう。あくまでも遊戯者がどう感じるかだ。

これって、凄いんですか?って聞くような奴を動画で打たせるな

しかしここで問題なのは、遊戯者が機械の情報をよく知らないために、アツいのかどうか判断できないことが有り得るということだ。例えばこれである。

交響詩篇エウレカセブン2。中段チェリー

ラスト3ゲームでATが終わってしまうその瞬間、救世主の如くレア役が引かれ、遊戯者は命拾いをする。しかも中段チェリー。さらにスイカまで揃っている。これは凄い。凄いに違いない。

しかし残念ながら、中段チェリーには上掲のスイカ揃いパターンと、その上位種であるBAR揃いパターンの二種類があり、真に激熱と呼べるのはBARが揃う方である。スイカ揃いの場合は、AT+50ゲーム以上、ボーナス確率50%以上、高確率状態、といった恩恵となるが、ことBARも揃うとなってくると、AT+100ゲーム、ボーナス確定が約束される。スイカ揃いの方が50%抽選に漏れるとしたら、出玉は雲泥の差となる。

ちなみに、スイカもBARも揃わないような、ただの中段チェリーといったものは存在すらしない。「ち、中断チェリー!!さらにスイカ、も(中を止め)、揃っ(右を止め)、たぁ!(手放しで喜ぶ)」というのは、ぬか喜びも甚だしいのだった。

予備知識を持っているのと持っていないのとでは、感じるアツさ、そして結果が良くなかった時の恥ずかしさや落胆具合も大きく変わってくる。やはり、知識は宝だ。

あえてね。

さらに、豊富な知識を蓄えると、このような楽しみ方も出来る。

ゲッターマウス。ゲッターロボのパクリよろしく、三匹とも首にマフラーを巻いている。イチロー、ジロー、サブローという名前が付いているが、何故ジローを鼻垂れのダメっ子にしたのだろう。ゲッター2の隼人はクール&ニヒルキャラだったというのに。

先に断っておくと、この出目は只のスイカこぼしで、ボーナスは当たっていなかった。

右上のようにサブローランプが点灯すると、スイカorボーナスが約束されるのだが、それは即ち、スイカさえ外れれば当たりだけれども、スイカが揃ってしまった瞬間、1枚払い出しのお寒い平穏状態が確定してしまうのである。

だから、ここでは敢えてスイカを外す。絶対にスイカを引き込めない位置でストップボタンを押していき、ハラハラドキドキするのだ。もしボーナスでなければ、スイカの分1枚損するが、なあにそんなもんはホールのどこかに落ちている。拾え。這いつくばって。探すんだ隈なく。隅々まで。乞食のように振舞ってでも、ボーナスなのかどうか、今、このアツい時間を過ごしたい。皆そうであるべきだ。

生半可な知識があると、上のように少しひねくれた遊び方に興じてしまい、それはそれで良くないのかもしれないなとは思う。

演出バランスも大事だけど、何より魅せ方だね

さて、もちろん激熱は、確定や濃厚とまではいかない、良い塩梅のものを指している。 リーチ目など、出てしまえばそれで確定、100%当たりといったものは、激熱ではない。一応、液晶搭載機で 激熱演出が必ず当たる機種もあるようだが、まどマギを除いて大抵は面白くない。

ハイパーリノ。中段トマト

例に出すまでもないのだろうが、上のような写真は激熱ではない。真ん中にトマトが並行揃いしてしまったらもうおしまい。確定だ。次のゲームにはギャババシャーンというけたたましく下品な音が鳴り響き、告知シャッターが開き、エドはるみの一部がこんにちわすることになっている。

写真では全てのリールを止めてしまったが、まず最初に右リールを押して、上から青7・トマト・レモンが止まった段階では、まだこれは激熱とは呼べない。それこそ「CHANCE」の足元にも及ばない。普通の小役であるレモンが左上がりに揃っていく様を、誰もが想像する、ただの通常出目だ。

かといって、次に左か中のリールを止めた瞬間、もうボーナス確定の出目が来てしまう。その時点で激熱な部分が飛び越されるため、遊戯者は、アツい、と思うことなく、ただただ当たりへの喜びを溢れさせるだけだ。もちろんそれは素晴らしいことだが、本記事の趣旨からは、歓迎できなくなる。確定は激熱の敵である。

まさに激熱のお手本

やはり激熱の醍醐味は、どうなるのかわからない、でもきっといけるんじゃないのか、どうなんだ、という葛藤的按配だ。

主役は銭形2。五エ門ヒーローチャレンジ中

主役は銭形2は、設置店を探すことすら大変な台だが、よく出来ている。写真はヒーローチャレンジ中のものだが、この1リールを止めた時点が、五エ門ヒーローチャレンジで最もアツい。激熱だ。

まず、この時点でベル系統の小役が確定している、という事実が良い。1リールだけで判明する。もちろん、決して確定目ではない、ということが大事だ。1確目を搭載している機種は数あれど、1リールの激熱はなかなかない。

ここから先がさらに良いのだ。五エ門のヒーローチャレンジは、15ゲーム間の中で、上段並行ベル揃いが出ればAT確定、右下がり斜めベル揃いだったら50%でATとなる。また、上掲の1リール目から、ベルが外れてもAT確定だ。

つまり、次に中か右リールを止めて、ベルがどの位置に来るか、ということについて非常にドキドキさせられるのである。中リールを止めて、上段にベルが来た瞬間に、揃おうが外れようがAT確定となるので小さくガッツポーズ。中リール中段にベルが来てしまったら、当たりかハズレか、丁半博打だ。確率は五分五分。両者全く同じである。もちろん、極低確率でベルが揃わないことも有り得るし、主役は銭形2には昇格レア小役というものがある関係で、厳密には中段にベルが来ても、ATが当たる可能性の方が若干高くなっている。

これぞ激熱だ。確定ではない。しかし、この時点で最低でも半分以上は当たり、過半数は当たりである。世論は当たりに傾いているのだ。

以上のように、確率の知識などを持っているだけで、非常に楽しく、アツくパチスロを遊戯することができるのである。情報収集は大事だ。攻略雑誌の方々には恐れ入る。

おかげさまで、「ま、半分近くはダメってことだしね、ありえるよね、うん」と冷静な気持ちで平然と家路につくことができた。どうやって帰ってきたかは覚えていないが、財布が薄くなった分足取りも軽かったのではないだろうか。


労働階級からの解放を志し、収入のアテもないのに突然脱サラ。後先考えないその姿勢に後悔しきり。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です