【結果考察】第79回皐月賞【2019】


例によって例のごとく、四月の皐月賞が終わった。勝ったのは単勝オッズ1.7倍という厚めの支持を受けた、一番人気の六枠12番サートゥルナーリア。数ヶ月ぶりの実戦がいきなりの大一番となったが、無事に差し切って無敗の皐月賞馬たちの仲間入りを果たした。

フューチュリティな王者とホープフルな王者の直接対決

グレード制導入以降、皐月賞に中央のG1ウィナーが複数出走するのは今年が初であった。六枠12番サートゥルナーリアは2年前にG1へ昇格したホープフルステークスの勝ち馬として、断然の一番人気を背負い、最後の直線で内に斜行し他馬に迷惑をかけるも、時の運か政治力の賜物か、うまく凌ぐことが出来て1着を譲らずに済んだ。

JRAの公式パトロールビデオより。画面中央やや右、一番手前にいる二頭。緑の帽子をかぶり左腕を振り上げているのがサートゥルナーリアの騎手。青い帽子が被害馬。
JRAの公式パトロールビデオより。画面中央、一番手前にいる二頭。緑帽子の騎手が左ムチを打ったため、青い帽子の騎手に向かって体当たりをしにいくサートゥルナーリア。

元々「普通に力を出せれば期待できる」と言われていた馬で、休養明けでも「力を出せる態勢にある」とのことだったから、それはまあ順当な結果である。調教助手は正しく馬の力を把握し、真摯に適切に、嘘偽りや誇張表現など全く用いず、コメントをしてくれていたのだ。

お馴染の深い衝撃的な勝負服でアタマ差の2着

2着には四枠7番のヴェロックスが入った。こちらも9.0倍の四番人気で、至極妥当な結果である。ただ、情景の画像にもあるとおり、1着馬にぶつけられるという、ちょっとした不利を被っており、これが無ければ勝っていた可能性すらあろう。もちろん公式的には、その被害がなくても勝ち馬には先着できなかった、と認定されてしまっているが、着差は僅かで、実にアタマ差であり、本当は逆転の可能性が十分にあったのではないか。運と政治力でも敗北してしまったか。

弱点として、「仕掛けてからモタモタする面」があったが、無事に「改善されてきている」状況だったのにも関わらず、他の馬からモタつかせられていたのでは笑えない。

関東馬代表、堂々の3着確保

二枠4番のダノンキングリーも、三番人気で3着と、極めて優秀かつ平凡な結果であった。しかし、これも2着馬とはハナ差に過ぎない。1着馬とはアタマにハナを足した程度、つまり半馬身も差がないほどの入線である。実力は伯仲だ。但しこちらは2着馬と違い、目立った不利は受けていない状況での成績だから、ダービーでの逆転は、望みがやや高い。だが、もちろん無理筋ではない。可能性は大いにある。

JRAの写真判定より。ほぼ三つ巴で馬券になった三頭。

しかし、調教師が盛大に吹かした「皆さんの期待に応えたい」という、全国の競馬ファンが最も注目している馬はまるでダノンキングリーであるかのような物言いは、笑いを誘った。実際には前夜の二番人気からさらに一つ落ちてしまい、関係者としては苦笑いといったところだろうか。しかし、無事に馬券圏内は確保したから、多くの手堅いファンの期待には応えられたものと思われる。面目躍如だ。良かった。

逃げもせず、差しもせず、不動の王者

4着にはもう一頭のG1馬、2歳王者のアドマイヤマーズが入った。こちらは二番人気だったから、ややファンの期待を裏切ってしまった面があるものの、先行馬らしく安定した実力を発揮できたとみえる。王者らしきブレない立ち居振る舞いだ。ただ、「ゲートは速い」のに、自分でペースを作ってしまうとだらけてしまうという、キリギリス的な性格ゆえに、展開頼みとなりがちな点は、やはり大きな不利となった。陣営としては「持久力戦に持ち込んで渋太さを生かせる展開」を心待ちにしており、実際に、なるべく前にいた方が有利な展開とはなったが、自分より前の馬は全く垂れてくれず、ただただ現状の位置取りを維持していたらレースが終わってしまったのであった。一角で6番手、二角で5番手、三角で4番手、四角で5番手、そして4着。若干前後の入れ替わりがあったものの、「渋太さ」だけではどうにもならないことが明るみに出てしまった。切れか出足か、次に向けてなんらかの手を打つ必要がありそうだ。

穴は5着にやってきた

ここまでは上位人気馬がしのぎを削っていたわけだが、なんと掲示板に載った最後の一頭は、14番人気のクラージュゲリエであった。調教師は、初めてコンビを組む横山典弘騎手「の意外性に」「期待してい」たが、まさに意外。意外や意外としかいいようがないのである。まず本馬は、「最終追いの動き」は良くは無かったし、過去にこの馬を重賞で3着に持ってきてくれた二人の騎手は、いずれも皐月賞では別の馬に乗って本馬を捨ててしまった。つまり、クラージュゲリエはG1では到底力が及ばないと、関係者の誰もが感じていたのである。そんな逆境を横山典弘騎手は見事に跳ね除けてみせたのだ。「並ぶ形で闘争心を生かす乗り方がベスト」と調教師は言っていたが、道中はともかく、直線では先団からはこぼれ、中団からは突き出た一頭になってしまい、「並ぶ形」は作れなかった。しかし横山典騎手はめげない。本馬の持ち味である「長くいい脚を」存分に使いきって、4着となった2歳王者に迫らずとも遅れない間隔を保って、入着賞金をゲットしたのである。次で大きく花開くかもしれない。

固い決着だという印象ばかりが拡散されるが、

実は6着以降も波乱の結果で、十五番人気で6着となったタガノディアマンテを筆頭に、ブービー人気で9着に入り出走手当を手にしたダディーズマインド等、上位の堅実な結果とは裏腹に、少し面白いことになっている。

そのアオリという表現も不適切ではあるが、一桁人気を背負いながらも二桁着順に沈んでしまったのが、実に五頭もいるのであった。

馬券ファンを図らずも翻弄してしまった漢たち

まずは七番人気で12着、シュヴァルツリーゼだ。結局「不器用ですが」、という助手の一言は、謙遜でもなんでもなく、本当の弱点だったということだろう。そんな馬が、狭い中山で「多頭数に」なんて「うまく対応」できるわけなかったのだった。

続く13着馬はもっと酷い。ファンタジストは五番人気だったのである。こちらも「2000mでもどこまでやれるか」という一言で既に結果が見えていた。全く長すぎてお話にならない「2000m」なんだけれど「もどこまでやれるか」ということだったのである。手前味噌だがこれは既報の通りだ。

そして八番人気のサトノルークスが14着。いくら「器用でどんな競馬でもできそう」といっても、それはあくまで遠い未来の話。「晩成タイプ」の「現時点の力」ではここまでだったということだろう。

九番人気の弥生賞馬、メイショウテンゲンがハナ差の15着。弥生賞を勝たせた騎手は皐月賞で14着。その父が調教した本馬はほぼ並んでの15着。親子の絆を感じる結果だ。弥生賞当時の重馬場についての判断は、読み間違って結果オーライとなったが、その揺り戻しか、「大きな差はないと思う」という本番での読みは、悪い方へ外れてしまった。

五頭目が六番人気のニシノデイジーで、ファンの期待を裏切るも裏切ったり、なんともお粗末な17着であった。気候やハミの良し悪しを見誤った前回の教訓を糧に、「馬具を工夫」して挑んだ今回。黄色く目立つシャドーロールがなんとも印象的だったが、三角から四角にかけて、押そうが引こうが全く進んで行かないという体たらく。またもや調教師さんは何かの判断を誤ったのではないだろうか。

JRAの公式パトロールビデオより。画面右、青い帽子の下で黄色いものを巻いているのがニシノデイジー。目立ちすぎるアクセサリーで皆から仲間はずれにされている模様。
JRAの公式動画より。三角から四角にかけて。画面中央やや右に、黄色い輪をつけて馬群に沈んでいるのがニシノデイジー。黄色い覆面の馬ではない。

いずれにせよ、今年の牡馬クラシックも、非常に楽しめそうではある。あくまで「力を出せる態勢」だっただけであり、絶好調とはいえないながらも貫禄をみせつけた、無敗のサートゥルナーリアを打ち破れるのはいったい誰か。ダノンキングリーとヴェロックスは、最も近い位置にいそうではあるものの、本気を出したサートゥルナーリアに届くのかどうか。いまひとつ心もとない。ダービーまで数十日しかないが、ダディーズマインドあたりの伏兵が覚醒することを期待してみたい。


労働階級からの解放を志し、収入のアテもないのに突然脱サラ。後先考えないその姿勢に後悔しきり。

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