柴田善臣騎手、昨年度の勝利数に半年足らずで到達


2019年6月8日、東京競馬第3Rで四枠7番のヤサカリベルテ号(3歳・牡)が勝利し、鞍上の柴田善臣騎手(東・52歳)は本年7勝目を挙げた。昨年、一年間かけて記録した勝ち鞍数に、今年は僅か半年足らずで届いたこととなる。4月には、昨年度は口にすることが出来なかった重賞勝ちの美酒もさえも味わっており、JRAの最高齢騎手は、着実に復調を遂げつつある。

パドックでレースに備えるヤサカリベルテと柴田善騎手。

ヨシトミファン戦慄、「え、そっち!?」

当日は、どちらかといえばこの第3Rよりも、メインの第11R、多摩川ステークス(3勝クラス・ハンデ)で騎乗するトーセンブレス(4歳・牝)のほうに注目が集まっていた。

トーセンブレスは柴田善騎手とコンビを組んで新馬戦を快勝した後、重賞戦線で掲示板を確保し続ける等、安定した成績を収めていた。しかしオークスの出走取消以降、なんらかの歯車が狂い、クラシック後半からは二桁着順を続けるなど精彩を欠いている状態で、国籍問わずどんな騎手が手綱をとっても、なんとなくパッとしない成績が続いているのであった。

そのためこの度、スランプ打破の気付け薬よろしく、トーセンブレスを唯一勝たせたことがある騎手、そしてクラシック直前まで掲示板を外さなかった相性の良い騎手として、柴田善騎手に再び騎乗依頼が舞い込んできたのである。

つまりヤサカリベルテとの第3Rは、あくまでも長老騎手にとっての早起き体操、縁側における寒風摩擦程度の扱いであり、本番はメインレースに控えている、という下馬評がどこかで立っていたのである。

JRAの公式HPより。

しかし、蓋を開けてみれば第3Rこそが真骨頂。柴田善騎手とヤサカリベルテは好スタートから番手争いを早々に制し、先頭を見ながら虎視眈々。先団の内々をひっそりと追走し、直線では残り200mを切ったあたりからぐっと前に出て他馬を出し抜き、そのまま一番人気馬の猛追を僅差で退けてレースを制してみせたのだった。

体さえ動けば、経験がものを言う

これまで4戦連続でヤサカリベルテに騎乗した柴田善騎手の経験が、馬に備わった勝負根性への信頼を生み、さらにそれが早めに抜け出しても持ちこたえられるという自信に繋がり、好結果へ結びついたものと思われる。

もちろん、ダートコース、それも軽い不良馬場となっては力が要らないぶん前が止まらないため、なるべくいいスタートを切って前々でレースを進めたいところであったが、これもコンビ4戦目の成せる業なのか、発馬がばっちり決まったことも大きな勝因の一つであった。

いずれにせよ、15頭立ての五番人気に過ぎなかったヤサカリベルテをしっかり勝たせるあたり、ベテランならではの仕事裁きを感じる。ちなみにこれまで柴田善騎手が本馬に騎乗した3戦は、八番人気、十番人気、六番人気から全て5着となり、掲示板の末席を確保していた。着外人気から入着をもぎ取り、着人気からは首位を勝ち取るという好成績。相性はばっちりである。新たなお手馬として、今後も目が放せない。

メインは入着どまり。しかしその人気はダブルスコアだった。

ちなみにメインレースのトーセンブレスは、18頭立て十番人気という低調な評価から、追い込んで5着を確保するものの、勝つには至らなかった。距離があと数十mあれば逆転すらありえた脚色で、こちらも鮮やかな末脚が復活間近といった走りであり、次走は注目だ。

JRAの公式動画より。ゴール前の瞬間。画面中央のゼッケン9番がトーセンブレス。鞍上、柴田善臣。

このまま体を暖めて、この夏は10勝だ!

昨年の勝ち鞍、7勝をその半分のペースで達成した本年の柴田善騎手。次に乗り越えるべき壁は一昨年に記録した16勝であろうか。やや追い上げないと間に合わないペースであり、完全復調が待たれる。


労働階級からの解放を志し、収入のアテもないのに突然脱サラ。後先考えないその姿勢に後悔しきり。

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