初出場のG2開催でやや運にも恵まれた初勝利を挙げる等、毎節コンスタントに1勝ずつを挙げている元最年少女子レーサー生田波美音選手(20歳/B1/東京/124期)。そう記すと安定した成績を残していそうにも読めるが、しかし、節間最終日に今年初のフライング欠場をやらかしているから、ちっとも安定感はないのだった。しかも、優勝戦に一切無関係の立場で迎えた一般戦、勝負駆けでも何でもないただレース数を埋める為だけの存在たる一般戦でのフライングともなれば、オツムの状態を疑いたくもなってしまう。ここで無理しても先は無いのだ。何故踏み込んでいったのか、ほとほと理解しかねる。負けん気の強さが理性よりも勝っているのだとすれば、それはそれで大いなる問題である。
気を取り直して、G2の後はG3。
最終日に大きく濃い味のミソを付けた生田選手であるが、次節たる今節はなかなか好調なようだ。2023年3月7日から開催されているG3オールレディース「LOVE FM福岡なでしこカップ」である。こけら落としの第一競走から五号艇を駆って登場した生田選手は、人気に応じた舟券絡みの3着。二回走りの二走目は栄えある一号艇でしっかり逃げ切って1着と、まさに順風満帆な滑り出しであった。開催二日目の一回走りは六号艇の不利を覆せず最下位となってしまったのは致し方あるまいが、ここで優出の夢が叶うのかと期待させる状況である。
今度こそ。正念場たる三日目の二回走り。
迎えた三日目。2023年3月9日のボートレース福岡は、昼前に満潮を迎え、たっぷりと水面を蓄えたまま正午すぎに第一競走の発走となった。

我らが悩める長身女子、生田選手はこのレースと、メインたる第十一競走の二回走りで、初戦の面子は以下の通りであった。

なんとも明快、そして痛快な程に分かり易い、地元A級選手を勝たせる為に組まれた一戦である。お膝元、福岡支部所属のA2級選手が一号艇に鎮座したその外は、オールB級で固められている。その中で、生田選手は大外の大ベテランを除くと全国勝率が頭二つくらい抜きん出ているから、至極当然なことだがオッズは下表のようになる。

1-2-6、1-2-3がそれぞれ4.7倍、5.7倍と断トツの一、二番人気を形成。六号艇の大ベテランは例によってかつてのA級選手で、優勝経験も一度や二度ではないから、六人のなかでズバ抜けた実績があることを鑑みれば、これも半ば当然に三番人気は1-6-2の10.3倍となる。いずれにせよ、一号艇のアタマは動かず、追従するのは若手の成長株たる生田選手、あるいは衰えを実績と経験で捻じ伏せにかかる六号艇のベテラン選手、といった評価に固まってしまうのは、この出走表を見るにつけ仕方のないところだろう。
そして、万に一つ、地元所属で水面状況の把握も早い筈の一号艇選手が、万に万に一つ、逃げそびれるようなことがあった場合の保険として、2-1-6が17.2倍の七番人気に推されており、これが一号艇以外がアタマを張った場合の最安値であった。ここ最近の、いまいちパッと盛り上がらない生田選手の走りはあまり褒められたものではないが、それでも、今節の良さげな状況が舟券師たちの評価を押し上げているのだろう。ここはこの中穴的な期待に応えたいところだ。
江戸川に次ぐトリッキーコース、福岡。
ところで、である。ボートレース福岡は、その主催者が認めてホームページで開示する程に、難水面で知られている。
【ボートレース福岡 Official Site – 福岡水面攻略】
詳しい解説は上掲に譲るが、何しろ、スタートして最初のターンマークは、満潮時に独特なウネリを生じがちであり、それは歴戦のレーサー達にも予測や制御がしがたいものであるらしい。そして、元々が一号艇不利となるコース設計をしているとのことだ。
言うても地元よ?大丈夫でしょ?と思わせて…
これらの要素が絡み合ったのかどうか、上述の通り満潮を迎えて揺れに揺れる福岡の難水面で、果たして、トップスタートを決めた筈の一号艇地元選手は、ターンマークでおっかなびっくり、大回りをしてしまう。

その間隙を狙った生田二号艇は、決して鋭くはない、舳先をバッタンバッタンと浮かせながらもようやっと波を超えられましたといった程度の差し足で、半ば悠然と前に出る事に成功し、そのまま押し切ったのであった。



ところで、生田選手は何を考えていたのか。おろしたてのモーターと偶然にも相性が良く、差しが入ると踏んで狙っていって掴み取った勝ち星であるならば、まだいい。これが、特に何も思い至らず、二号艇のセオリーとして差しを敢行、福岡のウネリなど都市伝説とばかりに一切気にも留めず、ただ漫然と差し込んできていた結果がオーライであったのならば、事態は良くない。
この後の二走目は、A級メンバーに内外囲まれての三号艇操舵であったが、ほぼ何もさせて貰えずに最下位入線となったことから考えると、やはり生田選手の技術、精神力ともに甚だ未熟と判断せざるを得ない。先日のFといい、戦略面でも弱いとなると、今後は暗い。何しろ公称身長はとうとう167cmとなり、いよいよもって女子ボートレーサーとしては不向きな体格にまで成長しつつあるのだ。技術、精神、戦略の何れかに目覚ましい進捗が無い限り、早々に退路のみが残されることになろう。