御年52歳の柴田善臣騎手、今年2勝目


新しいお手馬を見つけたか。3月9日の中山4R、サラ系3歳の新馬戦で、4枠7番のアルカイクスマイルが逃げ切り勝ち、鞍上の柴田善臣騎手は今年2勝目を挙げた。

笑って笑って不気味な笑顔で

アルカイクスマイルは、初出走とは思えぬ前向きかつ落ち着いた走りを見せた。ゲートを無難に出た後は隣にいた1番人気の3枠6番カラミンサと並走するかたちとなったが、特に喧嘩することなく鞍上が促したとおりに先手を奪い、1番手で1コーナーへ。そのまま最終コーナーまで後続を引っ張った。

新馬戦であること、そして中山ダート1800mというやや持久力が必要なコース形態だということが相俟って、後続が道中で無理矢理に襲い掛かってくることはなかった。唯一、6枠11番の3番人気、ピチカートポルカが、アルカイクスマイルの外斜め後ろでプレッシャーをかけられる位置にあったが、こちらも折り合いを重視して勝負を避けていた。

鞍上の人気度がそのままオッズに影響したのか、アルカイクスマイルは5番人気。対して二番手追走のピチカートポルカは外国人騎手が騎乗しており3番人気であった。「いま前を走っているアルカイクスマイルは格下だ、ここで動かずとも、最後の直線ですぐに抜き去ってしまおう」とミナリク騎手が考えていたとしてら、その判断は至極妥当だったろう。

ベテランらしい差のない逃げと、タレない馬の根性

しかし、4コーナーから直線に向いても、アルカイクスマイルと後続との差は一向に縮まらなかった。そればかりかアルカイクスマイルは、残り200mを切ったあたりからは柴田善騎手のムチにもしっかり反応し、さらにジリッと伸びだしたのである。ゴール前の坂についても特段苦にせず上りきり、終わってみれば同馬は一切砂を被ることなく初戦を制していたのだ。

ただし、やる気はなかった

アルカイクスマイルの馬体重は牝馬としては大柄の520kgで、決して新馬戦向きの状態とはいえなかった。恐らく陣営としては、初出走では大ベテラン柴田善騎手の指導で競馬というものをアルカイクスマイルに覚えさせ、2戦目で鞍上をスイッチしての初勝利、といったシナリオも考えていたのではないだろうか。 事実、レース後の柴田善騎手も「気持ちがまだ乗っていないような走り」、「だらっと走った感じ」といったコメントを残しており、勝気で挑んだレースではなかったことが伺える。

そうであったとすれば、今回は予期せぬ初勝利、嬉しいハプニングだ。思いの外力強い競馬が出来たことで、陣営も明るい展望を描いているかもしれない。

柴田善騎手としても、トーセンブレス以来の有力新馬に騎乗できたわけで、年内二桁勝利すら難しいと考えていたファンにとっても光明が差してきたかのようだ。

自分が強いのではなく、他が弱いのかも

しかし、である。今回の新場戦が、決してハイレベルな戦いではなかったことに留意しておく必要がある。道中、2コーナーを回った辺りで、全くレースについていけなくなった馬が続出している。前半の600mが36秒8であり、速めのペースではあったが、先頭アルカイクスマイルの十馬身以上後方でもがいているのが何頭もいた。明らかに中央競馬の未勝利戦線で健闘できる状態ではない馬たちである。

ダートの1800mという条件が長すぎる馬も多かった。重馬場であったのにも関わらず、上がり三ハロンは39秒4である。先陣を切っていた柴田善騎手のアルカイクスマイルに、迫れるだけの脚が残っている馬が一頭もいなかったのだ。もともと前にいたアルカイクスマイルは、ただ一瞬のジリ脚を見せただけで後続を完封しており、斜に構えて極端な見方をすれば、他に比べてそんなにバテなかっただけで勝利を掴んだともいえる。

翌3月10日に開催される3歳のオープン特別、昇竜ステークスの出走馬には到底敵うまい。同じ3歳であるのにだ。

ベテランの味を魅せて、とりあえず目の前の1勝だ

柴田善騎手の逃げ切りは確かに上手い。中山の小回り1800mを活かすべく、きっちり先手を取り、しかし暴走することなく牝馬としっかり折り合って、4つのコーナー全てを小さく処理している。

それだけに、この馬がクラシックで通用する器かといえば、全くそうは思わないし、レパードステークス等で好勝負が演じられるかどうかについても、疑問符を付けざるをえない。馬がやる気を出して、隠された本性が解き放たれた時、どのようなパフォーマンスを見せてくれるのか。真価は次走ということだ。

いずれにせよ、勝ち星は勝ち星。3ヶ月間に2勝というこのペースでいけば、柴田善騎手は年間で8勝を挙げることとなるので、昨年を上回る成績を収めることができる。通算2300勝まであと42勝。不可能な数字ではない。


労働階級からの解放を志し、収入のアテもないのに突然脱サラ。後先考えないその姿勢に後悔しきり。

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