2019年3月31日、先ごろG1級に昇格した、かつてのG2産経大阪杯が開催される。古馬の中距離G1といえば、夏前の宝塚記念、秋の天皇賞といったところで、既に年間2件、そして牝馬に限っていえば、エリザベス女王杯もこれに加わるので、計3件である。そこへさらに春にも増設されたとなれば、中距離路線の充実感たるや、ダートやジャンプの非ではない。
中央競馬で開催される古馬のG1について、距離別にもう少し詳しく見ていくと、下記のようになる。
1,200m=2件:高松宮記念・スプリンターズステークス
↓+400m↓
1,600m=2件+牝1件:(ヴィクトリアマイル)・安田記念・マイルチャンピオンシップ
↓+400m↓
2,000m=2件:大阪杯・天皇賞(秋)
↓+200m↓
2,200m=1件+牝1件:宝塚記念・(エリザベス女王杯)
↓+200m↓
2,400m=1件:ジャパンカップ
↓+100m↓
2,500m=1件:有馬記念
↓+700m↓
3,200m=1件:天皇賞(春)
ダート=2件:フェブラリーステークス・チャンピオンズカップ
障害=2件:中山グランドジャンプ・中山大障害
こうして見ていくと、それほど偏った編成ではないようにも思える。各距離で2戦ずつを適当と見做して、順次増加中、ということになろうか。しかし、1,200m→1,600m→2,000mと、400mごとに隔たりがあった距離間は、2,000mと2,200m、2,400mのG1ではそれぞれ僅かその半分、200mの差しかない。中距離も短距離もこなすマイラーは、たまーに出現する程度だが、2,200mが丁度いい馬は、たいてい2,000mも2,400mもこなせるのが普通である。各種競走馬の特性を考慮すると、この距離感のG1は明らかに多すぎる。さらに100mだけ伸ばせば有馬記念まで守備範囲に入ることとなり、その馬が1年間で経験できるG1は、実に最大6本もあるのだ。
20年ほど前からだろうか。日本競馬界は長距離戦を嫌う傾向があり、それによりメジロ牧場は滅ぼされたといっても過言ではないような気がするが、それにしても中距離が恵まれすぎではないか。大阪杯がG1になって3年目を迎えるが、それよりは明らかに、冬のG2、3,600mのステイヤーズステークスを昇格させた方がバランスは良かった。
しかし、なってしまったものは仕方が無いので、G1・大阪杯の厩舎コメントを、例のごとくご紹介奉る。日刊競馬、勝馬、競友の三紙から抽出した情報をまとめている。
1枠1番:マカヒキ(牡6・岩田康誠)
友道師=「今回も在厩調整。やれば動きすぎるので、疲れを残さないように気をつけて追ってきた。状態は確実に上向き。この距離はベストなのでこの馬らしい走りを。」
大江助手=「有馬記念後から放牧に出さずに在厩していましたが、(前走では)バランス良く走れていました。少し余裕残しの体つきでしたが、それでもラストはシッカリ反応してくれましたし、内容的には悪くなかったと思いますよ。前走と比べて数字以上に体が締まってきましたね。追い切りも素軽い動きで調子は上向いています。決め手を生かせる展開になって欲しいですね。」
<のじ山の雑感>「少し余裕残しの体つき」だった前走はG2で3着。「内容的には悪くなかった」とはかなりの謙遜にも受け取れる。ただ、「状態は確実に上向き」という調教師と、「調子は上向いています」と同じように応ずる助手に、妙なものを感じる。上向きということは、現状の先にまだ上位の体調があって、そこまでは未だ到達しきっていないということだ。もしくは、落ちるところまで体調が悪化、どん底のスランプに陥って、これから調子が良くなる、むしろここまで落ちたらそれしかない、ということを暗に指しているのではないだろうか。前走時の出走体重は514kg。「数字以上に体が締まっ」ているらしいが、当日の馬体重には注目だ。どうも、全然減ってないやんけ!、と突っ込まれることを予期しての言い訳のようにも思える。しかし、「この馬らしい走り」、即ち「決め手を生かせる展開になっ」たら出番はあるかもしれない。
2枠2番:ワグネリアン(牡4・福永祐一)
友道師=「ひと回り成長して帰厩。去年の今ごろは馬体減りを心配していたが、今は調教を重ねてもどっしりして良い体つき。大丈夫。久々で、年長馬との対戦も初めてだから楽ではないが、楽しみを持って臨む。」
藤本助手=「神戸新聞杯の後に中々疲れが抜け切らなかったので無理せず放牧に出して立て直してきました。まだ完全にダービー時の状態には戻り切っていないと思いますが、それでも力は出せる仕上がりだと思います。帰厩後は入念に乗り込んできましたし、休養前より前向きさが出てきました。久々は全く気にしませんし、道中はリズム重視で力を出し切れれば。」
<のじ山の雑感>調教師と助手との温度差が大きい。調教師は馬体の頑丈さを引き合いに出す際、「去年の今ごろ」と比較して「大丈夫」と言うが、去年は3歳の春であり、人間で言えば高校1年の秋くらいだ。今は大学2年の春といったところであり、そこを比べても全く参考にならないのではないか。一方、助手の方は冷静だ。昨年5月に制覇した「ダービー時の状態には戻りきっていないと思」うと衝撃的な心象をさらっと言ってのける。「それでも力は出せる仕上がり」、「休養前より前向きさが出てき」たと慌ててフォローをしているものの、不安は募る。「力を出し切れ」るだろうか。
3枠3番:アルアイン(牡5・北村友一)
池江寿師=「硬くて時計の速い高速馬場が得意なタイプ。前走は苦手な緩い馬場を気にしてジリジリになてしまったし、余裕を持たせた仕上げでもあったし、斤量も1kg重かったので、決して悲観していない。中間は難しい面を出していないし、ひと叩き使って体も仕上がったので追い切りは反応を確かめた程度だが、動きが良くなっているように上積みは十分。週末の晴れ予報も歓迎だし、阪神2000mは好条件。時計勝負になればチャンスはあると思っている。変わり身を期待。」
<のじ山の雑感>前走のG2では、5番手追走から直線は外に出すも、垂れた馬を抜いた分だけ切れる馬に交わされ、結局そのまま5着。「苦手な緩い馬場」、「余裕を持たせた仕上げ」、「斤量も1kg重」い、と矢継ぎ早の言い訳が面白い。それで掲示板を確保しているのだから、大したものだ、とでも言わせたいのだろうか。「週末の晴れ予報も歓迎」と言うが、残念ながら土曜の阪神は雨。本番の日曜は晴れる予報ではあるが、果たして「硬くて時計の」出るような「高速馬場」になってくれるだろうか。ひとまず天候には見放されており、変わり身次第ではあるが、チャンスはなさそうだ。
3枠4番:エポカドーロ(牡4・戸崎圭太)
田代助手=「前走は休み明けのレースだったけど、3番手から、終いまでしぶとく脚を使って頑張っていた。内容のあるいい走りができたんじゃないかな。使って素軽さが出てきたし全体的に締まったね。成長を感じたし、相手がさらに強くなるここでもいい勝負ができるはず。コーナー四つの2,000mでG1を勝っている馬。今回はベストの条件。この馬にもチャンスは十分にある。」
<のじ山の雑感>前走のG2は、オーバーペースの逃げ馬の後ろ3番手でポツンと一人旅。最後の直線では中ほどまで3番手を維持し、中山の急坂も力強く乗り越えたが、切れのいい馬に差されて5着となった。「使って素軽さが出てきた」、「成長を感じた」と、少なくともその前走よりは更に粘れることが強調されている。大阪杯と同じ「コーナー四つの2,000mでG1を勝っている」から「今回はベストの条件」、とは少し強引な気がするが、陣営の期待感は強く伝わってくる。
4枠5番:ムイトオブリガード(牡5・横山典弘)
角田師=「(前走では)スタートを決めていいところで流れに乗ってくれた。直前の雨を気にして伸び切れないところはあったけど、一線級の相手でも内容は悪くなかった。先週は思った以上に楽に速い時計が出たし、今週は併せてビッシリやっていい動き。以前よりも体質が強くなったね。脚元の不安がなく、攻めをしっかりやれて状態はいい。相手はそろうが、右回りが駄目だとは思わない。どんな競馬ができるか。パンパンの良馬場で高速決着になった方が持ち味を生かせるはず。横山典騎手だと発馬も上手く出るし、あとはジョッキーに任せるよ。」
<のじ山の雑感>遅れずに左右と仲良く飛び出せた前走G2は、先行するも直線で粘れずに7着。まさに「悪くなかった」だけで決して良くはない内容であった。「相手はそろう」ことと「右回りが駄目だとは思わない」ことに全く因果関係がない。つまり、強敵が揃い踏みすることに対しては、何も言い返せていないのである。期待はできない。ちなみに、右回りは今まで5回走って、1着1回2着1回となっており、そこは本当に「右回りが駄目」ってこたぁないのだろう。「パンパンの良馬場で」というが、土曜の阪神は雨。あがって晴れる予定の日曜にどこまで乾くだろうか。以前乗っていた川田騎手や四位騎手よりも、スタートの手が合うと言われた横山典騎手だが、「持ち味を生かせ」ることなく終わりそうだ。
4枠6番:キセキ(牡5・川田将雅)
辻野助手=「秋は頑張ってくれたので、吉澤ステーブルでリフレッシュ。帰厩当初は力んで走るような面もあったけど、すぐに落ち着いていい雰囲気に。先週ビシッとやって良くなってきたので、今週は感触を確かめた程度だが、ここまで十分に乗り込んできたよ。同じ放牧明けでも昨秋の毎日王冠の時よりは格段にいいし、馬体も太目感はない。力を出せる態勢。この馬のリズムで運べれば好走、いいレースができる。前走はスタートが遅かったのでその点さえスムーズにいけば、良い結果を出せると思っている。」
<のじ山の雑感>先週になって「良くなってきた」からといって、「今週は感触を確かめ」る「程度」に調教を留めるのは、なんだかおかしくないだろうか。「十分に乗り込んできた」というが、なんとなく、先週の調教について、実にスパルタ的に走らせてようやく、という言葉をぶち込んだ方が良いように思う。つまり、「先週ビシッとやって」実にスパルタ的に走らせてようやく「良くなってきた」ということだ。すると、厳しく叩き過ぎたので、一転して疲労回復も兼ねて「今週は感触を確かめた程度」に軽く抑えた、という流れになる。3着だったG2「毎日王冠の時よりは格段にいい」、とまるで格別に良い仕上がり、と誤読させようとしているかのようだが、裏を返せば、G1で2着や3着に粘りこんでいた時よりも体調は悪いということではないのか。とはいえ、小回りコース一周の阪神2000mは、逃げる本馬にとっては好条件である。完調でなくとも軽視は禁物だ。
5枠7番:ブラストワンピース(牡4・池添謙一)
大竹師=「有馬記念でトリッキーなコースを克服。ようやくG1を勝たせてもらったね。ポジション取りも良かった。背腰がシッカリしてきて成長していた。放牧に出し、二月下旬に帰厩。当初は560kg以上あったがやるごとに絞れてきて540kg台になった。輸送すれば前回と同じくらいの体重で出せそう。問題なし。阪神で重賞勝ちがあるが、今回の2000mは内回りでややトリッキーなコースなのでスタートの精度を上げられるよう調整。好発進したいね。最終追いは予定より時計は速くなったが、ケロッとしていたし、午後も痛みはなく順調そのもの。巧く立ち回れれば。」
<のじ山の雑感>G1を制してもう三ヶ月が経とうというのに、随分と饒舌な印象を受ける。当時をベタ褒めである。「ようやく」というが、そもそもG1には勝った有馬記念を含めて3回しか出走していない。それほど長らくお待たせしました感はないのである。しかし、負けた2回はそれぞれ、二番人気で5着、一番人気で4着だったのだから、期待を裏切られ続けた関係者や応援するファンからすれば、ようやく、といった物言いで適切なのかもしれない。その有馬記念での馬体重が534kg。現在のところちょっと太めの「540kg台」だが、輸送での精神的ストレスを利用して10kg落とそうという目論見である。一度G1を勝てたことで楽観的になっているのか、「問題なし。」とあくまでも明るい。しかし、最終調整では「予定より時計は速くなった」とのことだから、ここで実は失敗しており、当日は痩せすぎているのではないか、という一抹の不安がある。「ケロッとしていた」とのたまうが、「午後も痛みはなく順調」という表現には不安どころか不信感さえ漂う。午後は痛くなかったということは、早朝の調教終了直後から午前中はずっと痛がっていたということであり、それはけっこう大変なことではないのでしょうか。
5枠8番:サングレーザー(牡5・ミナリクフィリップ)
浅見助手=「帰国後は山元トレセンで休養し、三月上旬に栗東へ戻ってきた。今回は体がフックラとして、体重が500kg以上に増えていたので調整が楽だったし、日曜の坂路でも良い動きをしていた。息づかいも問題ない。山元から直接入厩のこのパターンが一番調整しやすいね。調教でもシッカリ負荷をかけることができたし、調子は良いと思う。以前のように折り合いを欠くことはなくなったし、今回も道中で巧くタメを利かしてくれれば、終いはしっかりきっちり伸びてくれる筈だろう。」
<のじ山の雑感>「このパターンが一番調整しやすいね。」と笑顔で言われても、現場の事情を何も知らないファンとしては、知らんがな、としか応えようがない。しかし、「良い動きをしてい」て「調子は良い」らしいし、「折り合いを欠くこと」が無くなる等の成長も見られるとあっては、態勢は良さそうだ。「道中で巧くタメを利か」すという条件が付いてはいるが、そのような展開にハマればアッサリ勝利する可能性まである。ただ、「筈だろう」という語尾には自信が全く伺えないのだ。
6枠9番:エアウィンザー(牡5・浜中俊)
辻野助手=「前走は直前の降雨で、ノメるような、渋った馬場に脚を取られた場面が何度かあったようだし、休み明けで反応も鈍かったが、G1ホース揃いのメンバーだったことを考えれば3着でも悲観するような内容ではなかったと思う。前哨戦としては悪くない内容だと思うよ。叩いて走りは素軽くなったので、上積みは感じる。良馬場で走らせたいね。強敵相手だから甘くはないけど、まだまだ秘めている能力がありそうだし、楽しみはあるよ。いいレースを。」
<のじ山の雑感>前走は13頭立てのG2だったが、「G1ホース揃い」といっても4頭だけである。もっとも、それぞれ1着、2着、4着、9着といった入線順位であったから、G3級一勝のみの本馬が、3着としてその間に挟まることが出来たのは収穫といえよう。更に、「叩いて走りは素軽くなっ」て「上積み」がありそうとのことで、期待感も増してくる。しかし、「良馬場で走らせたい」となると望み薄だ。恐らく、前走で稍重馬場に苦戦したからこその発言だと思われるが、走路に夢を託すことは難しそうだ。「強敵相手」で「甘く」ないが、あるという確証のない「秘めている能力」に賭けてみるのも面白いだろう。いいレースを。
6枠10番:ステイフーリッシュ(牡4・藤岡康太)
安藤助手=「いつも通り放牧を挟んだが、若干気合不足に。でもこのパターンだと精神的に楽みたい。先入観を持たずに鞍上に感触を掴んでもらったが、乗った後とこちらのイメージが一致していたんだ。追い切りはまだ少しモサッとモタついた面はあったが、途中から促すとスピードに乗ってからの感触は上々で、併せた相手をキッチリ差し切ってくれる。悪くない雰囲気にもってこられて良かったよ。確かに強敵相手だけれど、当舞台でこの馬の強みである粘り強さを生かしたい。リズム良く走れれば良いな。」
<のじ山の雑感>「先入観を持たずに」乗せられた騎手に、助手は、どうだった?等と聞いたのであろう。「イメージが一致していたんだ」!とまるでテレパシーを信じる少年のような物言いだが、こちらはその「イメージ」の中身が知りたいのであって、やきもきするばかりである。「悪くない雰囲気にもってこられて良かった」と、ほっと胸を撫で下ろしているということは、雰囲気は決してよくないけれども、頑張ってなんとか走れるレベルまで辿り着いて良かった、ということだ。一時期の「気合不足」、「モサッとモタついた面」は、相当ひどかったのではないだろうか。文末、「リズム良く走れればいいな。」の直後に、無理だろうけど、という独り言が続いていたのではないかと勘繰ってしまうほどだ。
7枠11番:ペルシアンナイト(牡5・デムーロミルコ)
池江寿師=「元々、久々は走らない傾向だけど、ゲートの出も良くなって上手に立ち回れたし、苦手にしている緩い馬場や他馬より重い57kgを背負っていたのを考えると、伸び切れなかったのも仕方ない。金鯱賞の内容は前哨戦としては悪くなかったと思う。思った通り、叩いて馬体の張りが良くなっているように上積みはかなり。体は仕上がっているので最終追いは上がり重点。マイルのG1を勝っているけど2,000mも十分に守備範囲。器用なので心配ない。いい動きだったし、切れ味を生かせれば勝ち負けできると思うよ。」
<のじ山の雑感>「久々は走らない傾向」で、「伸び切れなかったのも仕方ない」というが、13頭中4着は立派なものである。「前哨戦としては悪くなかった」と控えめな評価だが、本馬より先着した三頭のうち、今回のG1に出走してきたのはG1未勝利の一頭だけである。ここは大チャンスだろう。「上積みはかなり」あって、距離も「十分に守備範囲」となれば、死角を探すのは大変である。唯一、「切れ味を生かせれば」との注文が付いているが、逆にいえば、その点だけなんとか上手くいけば確勝、という気持ちでいるということだろう。阪神内回りという窮屈なコースにあって、切れる脚の使いどころは難しめだが。
7枠12番:ステルヴィオ(牡4・丸山元気)
太田助手=「前走は発馬後につまづき、そこから位置を取りに行きましたが、流れには乗れていました。ただ道中は思ったよりペースも速く流れて動き出しを急かされる形に。脚は溜まりきれなかったけど、終い良く伸びてくれたように内容自体は良かったです。阪神の内回りコースでは、前走と同じように展開が流れるとは思いますが、上積みを感じさせるし、その中でうまくタメを利かせられれば。2000mも克服できる距離だと思います。抜け出すと気を抜きますが、そうならないようにタイミングを見計らって乗ってくれる筈です。」
<のじ山の雑感>前走のG2は、1着馬からクビ差の2着馬からアタマ差の3着。外から追い上げたが僅差で届かなかった。その当時「と同じように展開が流れ」ても、今回は「上積み」がある分なんとかなるのでは、ということだろう。しかし、「克服できる」「と思います」という表現からは、距離に対する若干の不安が伺えるし、「うまくタメを利かせ」る必要があったり、「抜け出すと気を抜」くという弱点があったりして、信頼感が削がれる。最後はなぜか騎手に無用なプレッシャーをかけているし、凡走の言い訳を予め用意しているかのようである。
8枠13番:スティッフェリオ(牡5・田辺裕信)
音無師=「福島記念(を勝った時)は順調に使っていたが、小倉へ輸送して10kg増だった前走は久々で太目だったのに、それでも勝つんだから、力をつけているのは間違いないね。小倉大賞典の2着馬が金鯱賞で10着だった。それを考えると前走時の状態では、ここに入ると足りないだろうね。中間は厩舎でじっくり調整、二週続けて良い併せ馬ができたし調子は上がっているよ。上積み十分。どこまで戦えるかだが、掲示板には載れていいと思う。」
<のじ山の雑感>「掲示板には載れ」るが馬券圏内は無理、と言っているようなものである。今回のG1出走馬のうち、金鯱賞には四頭が出走しており、それぞれ3、4、5、7着と、実に全馬が10着馬に先着している。10着に敗れたその馬は、いわゆる逃げ潰れであるが、道中はスローペースに落として逃げ粘りを狙おうとしたところ、太刀打ちできずに沈んでいったものである。確かに能力差を感じる負け方ではあった。しかし、本馬はその馬に対しては「10kg増」の「太目」状態で勝っていて、さらにその当時より「調子は上がってい」て「上積み十分」なのである。それだけ読めば、今回のメンバーでも互角、まともに戦えそうな雰囲気があるが、如何せん調教師が「どこまで戦えるか」と弱気なのだから、やはりきっと駄目なのだろう。
8枠14番:ダンビュライト(牡5・松若風馬)
音無師=「(前走では)早めに動いて持ち味を出してくれた。鞍上とは相性がいいね。舞い上がる気性を考えて、前走時と同様、精神面を落ち着かせるのにプール併用で調整してきた。短期放牧を挟んだが、相変わらず動きが良く力を出せる仕上がり。変わりなく順調にこれているね。瞬発力勝負では分が悪いが、早めに動いて長くいい脚を使えるのが持ち味。自分のレースをして、どこまで通用するかになるよ。雨で馬場が渋って時計がかかって欲しい。」
<のじ山の雑感>前走のG2は、逃げ馬を見ながら先団で競馬をし、直線で頭ひとつ抜けてから他馬数頭の猛追を凌ぎ切り勝利した。その競り負けない勝負根性は出色である。しかし、枠順確定前のコメントなのかもしれないが、小回りの大外枠を引いておきながら、「自分のレースを」するのは難しいのではないか。ただ、「雨で馬場が渋って」という希望は叶う可能性が出てきている。出走メンバーで、晴れの良馬場を願う陣営は複数あるが、降雨を切に願っているのは実に本馬だけである。重い馬場によって他馬たちが持つ本来の切れ味が封じられれば、根性と底力で決して抜かせない本馬の出番となるわけだ。
