超一流アスリートが白血病に罹患してしまったということで、多くのマスメディアが注目している。これ見よがしに街行く他人に声をかけ、コメントを取ったりなぞする。日本マスメディアが抱えるこのあたりの格好悪さは、今更言及するにも値しない。
協会よりも同行コーチよりも先に、本人からの告白
何より、本人発信の公表が先であったということには、本当に恐れ入る。自分でツイートするためには、当然に自分で文章を打たねばならないが、つまり池江選手は自分の手で、白血病、という忌わしき単語を綴ったということである。誰しもが認めたくない病名を、他ならぬ自分自身が入力しているのである。打つのも自分なら、世界で一番初めに読むのも自分である。これほどまでに、自身を蝕む異常について再確認させられる作業があるだろうか。文章とは、真摯に書けば書くほど、自分自身が曝け出され、投影されていくものである。囁き、と呼ぶには余りに重たい文言を見事に語り切ったというのは、本当に凄まじい。病に大差で打ち勝つであろう、強大な精神力を感じさせる。
失言するのが難しいなかで・・・
著名人のコメントも多く報道されている。東京五輪が絡んでいただけに政治家もぽんぽん発言する。心配です、祈ります、焦らず静養して、等といったことを述べ立ててればよいわけだが、ここに一人、絶大な違和感をもたらしてくれる男がいる。カブトムシさいとう氏である。
朝日新聞の記事にあるとおりだが、

これは良くなかったのではないだろうか。朝日新聞がカブトムシ氏の記事を大きく扱ったのは、いうまでもなく、かつて相方の中島忠幸氏が白血病で亡くなっているからである。コンビ芸は一心同体であるし、さらに中島氏とさいとう氏の二人は、小学校時代からの付き合いでもあった。カンニングを殺し、親友の仲を引き裂いたのが白血病という凶暴な悪魔なのである。
しかし上に掲げたツイートからは、そのような縁深さや病魔への憎しみを感じないばかりか、無根拠に治癒すると断言する、思慮の無さが際立っている。カブトムシ氏の味は、キレ芸とも評される良い意味での遠慮の無さだが、このタイミングはどうなのだろうか。相方は治らずに死んでしまったのである。それを何故、「絶対に」と2回も言い切れるのか。心情を全く推し量れないし、そのため真に共感できないのである。いや、言うのは簡単ですけど、あんたんとこ死んではりますやん、と思う人が、少なくとも数人はいるだろう。
どうすれば良かったのか、数秒で思いつくほど簡単
これがもし、「絶対に治ると信じています」であったならば良かった。相方は不運が重なって亡くなってしまったけれども、池江さんは大丈夫、相方が池江さんの分の不幸も全部持ってってくれたから、くらいであれば、カンニングのファンも心底納得できるのではないだろうか。
もっといえば、池江選手のファンに向けて、白血病の人に差し入れたら喜ばれるものとか、もしくは、安静が一番ななかで気を使わせると体に障るから、お見舞い品等は送らないほうがいいとか、そういった助言を発信してもよかった筈である。自分が相方のためにやって失敗したことや、やってあげられなくて後悔したことなど、カブトムシ氏にしか説明できない、沢山の情報があるのではないだろうか。
文字制限云々は一切言い訳にならないほどに、このツイートには情報もないし感情も足りない。重みが無いのである。報道に値しない。朝日新聞の失態ともいえる。
