【結果考察】第49回高松宮記念【2019】


毎年のことながら中京競馬場で行われたスプリントGⅠ、高松宮記念が終わった。三番人気のミスターメロディが勝ったのはいいとして、2着は二桁人気、3着にはブービー人気まで入り込んで、馬連でも三万馬券、三連単となれば約四百五十万馬券の大荒れとなった。詳しくみていきたい。

福永騎手からベテランの味が! 短距離戦らしく、無駄のない立ち回り

「相手は強くなるが、通用する力は持っているし、そんなに差はないハズ」という、裏を返せば「勝てなかった前走よりも、さらに他馬は手ごわくなるし、力関係では通用するが、若干ながら差はある」という弱気発言が出ていた二枠3番ミスターメロディが見事1着。コメントの最後を「ここでも楽しみ」という不可思議な発言で締めくくっていた不気味さが爆発した。

道中は前を見ながら内々をスムーズに進み、四コーナーから広い直線に出ると前が綺麗に開いて、垂れてきた逃げ馬をかわすのに充分な幅を確保、先行馬を競り落とした。揉まれずに進んですんなり先着したかたちだ。

前々で運んで…垂れない、垂れない! 垂れない!!!

十二番人気の二枠4番セイウンコウセイは、抜群のスタートだった。今回は暴走することなく、逃げ宣言をしていた他馬を行かせて先団。直線に入ると逃げ馬より前に出て、なんと残り200m付近まで、抜け出した独走体勢であった。1着馬に捕まえられた後も、脚色衰えず望外の粘り腰を見せ、そのまま喰らいついて2着を確保した。「ハナに拘らず気分よく先行し、スムーズな競馬ができれば 」と陣営が希望した通りの競馬だった。

とにかく勝ち負けを度外視して、「リラックスした走り」を意識させたことで、まさかここまでの好結果が引き出されるとは。「気楽に挑」むことの底力を思い知らされたファンは多い。

内々で前が開くのを待ち…どんっ

十七番人気の四枠7番ショウナンアンセム。「距離を伸ばすよりは縮めて…」という、決してスプリンター向きだとは陣営も思っていなかった同馬が、まさかの馬券圏内。「時計がかかればおもしろい」と言っていたが、かからなくても十二分に面白いこととなった。「善戦を期待したい」と控えめだった陣営の姿勢を、良い方向へ思いっきり裏切ることとなった。

中団の内側でレースを進めていた同馬は、直線に向いてからも進路が開かず、残り300m付近となってようやく前をかわす進路が開け、ガムシャラに追って2着馬とアタマ差に競り負けた。もしもっと広く馬場を使えていたら、逆転まであったかもしれない。勿論、抜け出すのが早くなったぶん目標にされてしまい、捕まって後退、という可能性も充分にあるが。

いずれにせよ、老いてから短距離部門に転籍、しかし見事に花開いてみせたというその勇姿に、感涙する窓際族や失業者も多かろう。そしてそんな馬が、二連続で掲示板に載れるのだろうか、と懐疑的なことを述べた者は、恥と涙を合わせて飲み込むこととなったのだった。

敗因は枠かや(反語)

一番人気のダノンスマッシュは、外枠の分かジリ脚とどかず4着までとなった。「直線で弾けると思う。」とは一体なんだったのか。弾け飛んだのは本命党の財布である。

道中では三コーナー手前で後述の通り他馬二頭を妨害しており、そこまでして内に入ろうとした挙句に伸び切れなかったこの我が侭バディは、一体どうしてくれるのか。騎手は過怠金で済むかもしれないが、ファンの馬券生活はままならないのである。

11歳馬は厳しかったが、9歳馬はまだまだ健在

「今のデキなら善戦できる。」との言葉通り、十一番人気のティーハーフが5着。今回も最後まで「しっかり脚を使っ」た。最高齢入着馬であり、短距離戦で元気な姿とその末脚を見せてくれるのは、老いたファンにとっても非常に頼もしい。

トモの寂しき戦士たち、彼ら、凡走最前線。

一桁人気を背負って二桁着順に落ちていった馬たちをみていくと、三頭となっている。九番人気で16着となったダイメイプリンセス、六番人気で14着のナックビーナス。そして、二番人気で逃げ潰れ、15番目の入線となったモズスーパーフレアである。

武騎手、GⅠでの二連続逃げ切りは失敗

まず外枠を引いたことが、モズスーパーフレアにとって一番の痛手ではあったろう。しかも当日には内側の馬が何頭もスタートダッシュを決めてしまい、それらを抜いていくことから始めなければならなかった。スタートから200mまでは先頭が12.0秒で通過したところ、次の200m間はなんと10.1秒で突き抜けているのだ。同馬が先頭を奪うため、如何に爆走したかが数字に表れている。

そして、やはり中京である。直線は長い。かつて中京で2戦し、5着と8着であった事実を忘れてはならなかった。「中京での2戦はともに1400mだった。当時に比べたら力をつけているのは間違いない」とは、やはり強がりだ。しっかりと先頭でいられたのは、残り400m標識あたりまでで、そこからはずるずると下がり、全く非力な逃げ潰れを披露してしまったのである。二番人気をして、ここまでの負けっぷりを見せつけられてしまうと、「予想していた以上の時計が出た」という調教に、明らかな失敗があったのではないかと疑いたくもなる。

メルカリ並みに流行った単語も落ち着いた。

ダイメイプリンセスは明らかに騎手人気だろう。外国人だからなんとかしてくれる、という神話もやや風化してきたということだ。「絶好調」「ではない」、「ゲートがひと息」、「変わり身があればだ」と言われている馬が、上位入線などできるわけないではないか。それが九番人気とは、デムーロ騎手の腕を見込みすぎである。

もう、ちょっと尻嗅いだらすぐヤル気無くして、あんたってやつは

一方、意外だったのはナックビーナスである。高松宮記念は過去に8着、3着ときているなかで、調教師は「更に上向いている感じだし、状態に関しては今回が一番いい。」と太鼓判を押し、「自分の競馬ができれば期待は大。後は運だけかな。」とまで豪語しておきながら、この大敗である。

道中三角付近で、4着馬が内に斜行したため進路が潰れ、鼻先を尻で撫でられるかたちにまで圧迫されてしまい、騎手がたまらず立ち上がる、という不利があるにはあった。しかし、その為に「自分の競馬ができ」なかったとはいえ、余りにも脆い負けっぷりである。一旦下がった後は外に出し、大外を綺麗に回ってきたものの、それで疲れてしまったのか、直線の脚に迫力はなかった。

斜行した4着馬の騎手は過怠金の支払いが命ぜられたが、成績自体の変動は無かった。つまり、JRAの裁決委員は、斜行の事実は認めたものの、もしその被害がなかったとしてもナックビーナスが4着馬に先着することなど無かった、と判断しているのだから、なめられたものである。しかし、短距離戦で加害馬から1.4秒も差をつけられているのだから、それも仕方なかろう。

中京の春、終了

一ヶ月近くに渡って続いていた、味噌カツあずきトースト中京競馬の開催だが、これで一旦見納めとなる。次回は6月29日からだ。内ばかり伸びる馬場がどう変わるのか、楽しみ。


労働階級からの解放を志し、収入のアテもないのに突然脱サラ。後先考えないその姿勢に後悔しきり。

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