2019年3月27日、ボートレース宮島において、「第5回住信SBIネット銀行賞」という一般戦が幕を開け、天候不順のため第8R以降は中止となった。勝率6点台のB2級、平高奈菜選手(31才/香川/100期)は、過去の実績を買われ、初日の一回走りをいきなり1号艇で迎えるという高待遇を受けるも、4着に敗れた。
穏やかといわれる瀬戸内の海、厳島を襲う強風
予選の滑り出しに失敗した平高選手だが、競走成績のとおり、向かい風7mとなってはイン戦も恵まれているとはいえない。ちっとも速度を上げられないままスタートラインを迎えてしまい、万事休すであった。

一方の3号艇は、同じスロー勢ながら暴風を見越した上手いスタートを切った。すぐ内の2号艇とは.15も差が開いている。当然こうなると3号艇は一息のまくりだが、初日ゆえに船足の調整も甘く、そのまま外へと流されてしまう。そこへ4号艇がズドンと差して、といったところだが、いずれにせよ、1号艇の出目は早々に消えてしまったのだった。



カッとなりやすいオンナ、毎度のごとく覚醒
さて、ここからである。鈍いスタートから早速1周目1マークで5番手まで後退してしまった平高選手だが、例によって例のごとく、ここから鬼の喰らいつきが始まるのである。抜かれてからの強さが際立っている。まさに男勝りだ。勿論、ヌくよりもヌかれてから、真の賢者が力を発揮するという意味でだ。
といっても、2周目の向こう正面までは、差を詰めこそすれ、特に動きはない。動けるほどに近づけてもいなかったのだが、牙をむくのは2周目2マークからである。

このターンで、3番手を追走するB1級選手の3号艇がやや膨らんだ内を、4番手の、同じくB1級の6号艇が差していこうとするが、平高選手はさらにその内、狭いところへの切り込みを敢行する。

突然にちょっとクラスの話
B級選手は、ざっくりいって偏差値55以下の選手たちである。競艇選手の約60%、実に過半数を占めるが、そのほぼ全員が、そんなに上手いとはいえない、という状態だ。
対して、ちびま●子ちゃんの山田よろしくバカみたいにフライングを3回切る前の平高選手は、A級もA級。競艇選手の上位20%、偏差値65以上とも例えられようA1級選手であった。フライングの罰としてB級の最下層で破廉恥に喘いでいるが、今回の出走メンバーにあっては、その技術差たるやまさに雲泥である。

とすると、さも当然のように以下のような事態が起こるのだ。6号艇をサクッと差した挙句に、3号艇までもはや目と鼻の先である。

そして、3周目1マークを終えて向こう正面に出る頃には、こうなってさえいるのだから、一流船乗りの腕と執着心とは恐ろしいものだ。

ちなみに、3号艇の池田明美選手(42才/静岡/80期)とは、体重の差も9.5kgあるので、そういったところの有利もあってのことだとは思うが、いずれにせよ、平高選手によるブービーからの盛り返しは、もはやお家芸に近くなっているのだった。
3着か、3着なのか、3着じゃないのか
このまま行けば3着確保、ド本命に押されていることだし、せめて三連複や拡連複には絡める筈だったが、ここで6号艇蜂須瑞生選手(27才/群馬/114期)が、再起を賭けた若さゆえの攻めハンドルを入れてくるのである。

3周目2マーク。いわゆる最後のターンマークである。4号艇が回る。5号艇が差しハンドル。そして、6号艇が右から左へと、あの大人気一発芸人、ムーディ勝山よろしく入り込んでくるのだ。


平高選手は予期できていなかったのか、握ってかわすことが出来ず、減速して6号艇をやり過ごすことにしたのだが、そこは今日の前半戦第2Rで2コースからまくりきった蜂巣選手。抜群に調子が良いのか艇と肌が合っているのか、モーターの振動がたまらない快感なのか、普通ならば外へ流されていってしまうところ、見事に踏みとどまって回りきったのである。

そうなると今度は3号艇池田明選手である。減速する1号艇の内へすかさず差し込んで来る。熟女の一突きだ。こうして、上の写真からも一目瞭然だが、最後の直線がなんとも激熱な戦いとなったのだった。20代、30代、40代の性技が試される、恐るべき騎乗位対決である。ゴールの瞬間は以下のようになった。

同着かとも思われるほどだったが、厳正なる判定の結果、3号艇の池田選手に軍配が上がった。やはり年の功なのか、それとも、四国民は本土生まれには敵わないということなのか。
残り3ヶ月、まずは優勝を
なんにせよ、経緯としては以上の通りであるが、平高選手は1号艇1コースながら、結果としては4着であり、道中の華麗な追い回しや出し抜きも、本来の1号艇に求められるべき立ち回りや振る舞いではなく、酷い書き様をすれば無様なものであった。しかしながら、その執念と技術は、やはり一流、A1級だと改めて思い知らされるものだ。
恐らく7月にはA級に昇格するのだろうが、是非とも一度は優勝して頂きたい。本レースもそうだし前節もそうだったが、選抜戦への起用や白カポックの多用など、平高選手は通常のB2では考えられないような好待遇を受けているのである。「あんなに良くして貰ったら、アタイだってA2級くらいの勝率になるわさ」とお局軍団が陰口を叩き出すのは、風の噂でも聞くに堪えない。なんとか勝ちまくって欲しいのだ。今節の初戦を落としてしまったが、なんとかなりませんか。
