最年少レーサー生田波美音選手、プロ初連対!


2019年10月5日、ボートレース芦屋で開催中のヴィーナスシリーズ第9戦「西スポ杯争奪芦屋カップ」の5日目第1Rにて、もうすぐ後輩を従える予定の生田波美音選手(17才/165cm/B2/東京/124期)が2着で入線し、選手人生初の連絡みを果たした。

F休み後も誇らしく、とはいかず

6月のフライング以降、攻めたスタートが激減した生田選手。翌7月には只一度きりの3着入線があったものの、その後のレースで.00のタッチスタートを切った精神的衝撃があったのか、夏休み以降に迎えた前節の一般戦「第26回日本財団会長杯」は、.46や.37、.30といった冗談じみたスタートを乱発し、56着を並べた。

このままフライング懲罰の恐怖心から抜け出せずに低迷してしまうのか。またもや東京支部から連敗女王が生み出されてしまうのか。在京ボートファンの多くが畏怖したことだろう。

あの人より先に勝ちたい。絶対に勝ちたい。

しかし今節、復調への狼煙が高々と上がった。まずその初戦、1日目第2Rのスタートタイミングが恐ろしい。なんとも危うい.02である。

BOATRACEオフィシャルウェブサイトより。画像最下部、緑の6号艇を操るのが生田選手。

内の4号艇は惜しくもフライング失格となったこのレースは、結果的に4着に終わったとはいえ、生田選手の漲る気迫をヒシヒシと感じさせた。

怖いもんは怖いんじゃ!

しかし、その後は再び.36という味噌っ子一番星みたいなスタートに戻ってしまった。それもそのはず、一走目の生田艇と4号艇を分けた命運には紙一重ほどの差しかなく、生田選手はまさしく、波風がうまく流れてくれた為に救われただけに過ぎない。帰還してすぐ大いに肝を冷やしたことだろう。危なかった。その気持ちを直ちに切り替えられるほど、水神祭処女が擦れている筈がないではないか。

翌日も心持ちは芳しくなく、相も変わらず.39という残念なスタートとなった。さらに今度は、すぐ内側、無事にA1級へと返り咲いたミスフライングV3・平高奈菜選手(32歳/159cm/A1/香川/100期)について行ったところ、弘法も筆の誤り、ターンマークに乗り上げた平高艇に続いて自身も真正面からターンマークへ突進し、腕のなさゆえ転覆してしまった。

このまま今節も散々な成績で終わってしまうのか。彼女が出るレースはいつ何時でも五艇立てとして予想しなければならなくなるのか。日を追う毎にファンの期待感が薄くなって行くところだが、なんとなく光明の兆しはあった。

それはまるで火山活動の予兆

転覆以降のスタートタイミングは.15、.25、.13と、ややバラつきがあるものの良化傾向にあったし、何より今節は、初日から4日目終了時点まで6着は一回しかなく、5着も一度きり、残る三走は全て4着で、あわや舟券圏内といった走りを連発しているのだ。スタートで後手を踏んでからの、大外からの鋭い差しが、案外ずっぽりと前へと迫っていたりしたのである。

そういった状況であるから、5日目の早朝を爽やかに彩る万舟券は、齎されるべくして齎されたといっても過言ではないかもしれない。対戦メンバーは下表のとおりである。

BOATRACEオフィシャルウェブサイトより。カメラマンが違うのか編集が下手なのか、生田選手だけ顔アップだ。

1号艇の実力がずば抜けているが、他は全てB級レーサーで、買うならば1-9-9、何が起こるかわからないといったところだろうか。

後出しじゃんけんタラレバほい!

しかしレースが既に終わった今、必死に考察すれば、2号艇の選手が芦屋を大の苦手としているように思える。何しろ当地勝率1.33は、生田選手の全国勝率よりも低い。結果的にはここが要注目ポイントであった。そのまま他艇に目を移すと、ヴィーナスシリーズでは経験豊富の域に入らんとする4号艇の選手も、芦屋での出走データがないし、6号艇の選手については少なからず、他のレース場よりも芦屋は相性が悪いという数字が出ている。

つまり、そもそも生田選手の付け入る隙が十二分にあったのだった。1-35-9という買い方も非常に現実的だったわけである。

初連対までの、その2分弱の道のり~スタート、後手~

さて、結果的に生田選手が初連対を決めることとなったこのレース、彼女のスタートは真に遺憾な出来であった。

BOATRACEオフィシャルウェブサイトより。黄色い5号艇を操るのが生田選手。

最も遅い4号艇の.21を、さらに0.1秒以上下回る.32である。転覆直前に逆戻りだ。今回も舟券には絡まないだろう、と芦屋に連日通ったファンなら誰もがそう思ったに相違ない。

初連対までの、その2分弱の道のり~1周で踊り出る~

しかし、ここからが凄かった。まず連日繰り返し試みていた1周目1マークの捲差しで、6号艇の内を抜けつつ経験値の高い4号艇より前に出ると、2マークではしっかりと内に包み込んで4号艇を完膚なきまでに引き波へと沈めた。そして同時に、この行為が外へ流され気味であった3号艇の内を小回りする格好となり、結果的に一息で二番手追走の2号艇へ急接近することに成功したのだ。大外の艇が最悪のスタートから僅か一周で上位陣に食い込んで行く様は、ボートレースの手に汗握る面白さを実感させるに足る、まさに宣材のようなレース展開であった。

初連対までの、その2分弱の道のり~B級熱戦、開幕~

続いて2周目に入るわけだが、ここから二艇のデッドヒートが始まる。芦屋勝率1.33の2号艇操者・野田部宏子選手(29歳/164cm/B1/福岡/112期)と、全国勝率1.46の生田選手。奇しくも同じ身長の二人が、同じようなどん底の成績を引っ提げて、しかしA1レーサーのすぐ後ろで、後続を三艇も引き連れながら、映像に捉えられる位置で熾烈な戦いを繰り広げたのだ。

まず2周目の1マーク。ここは2号艇の内へ生田5号艇が潜り込もうとしたが、舳先はかけたものの差さるには至らず。さらにはバックストレッチで艇が浮いてしまい、野田部選手に引き離される。5号艇のモーターは優勝経験もある程の代物だが、一度の優出すらもない2号艇モーターにノビで負けてしまったのである。ここは流石に野田部選手、非処女の意地、アラサーの極意、ペラテクの違いを見せ付けたか。

そして2周目2マークの攻防に移るわけだが、ここで生田選手は、差してダメなら、と捲りを選択し、これが見事に決まって逆転となった。ツケマイ、と呼ぶにはやや離れすぎだが、しっかりと握りこんで野田部選手を捲り切った豪快な振る舞いは、なかなか様になっていた。艇も大きく流されることはなく、ここで勝負は決まった。

初連対までの、その2分弱の道のり~迷いあるダンプ~

本走、そしてボートレースが時としてとても面白いのは、これだけで戦いが終わらないことである。今度は3周目の1マークで、干支一回りも年下の後輩にしてやられたB級アラサー・野田部選手の復讐があったのだった。事前にホームストレッチで大きく内に舵を切っていた野田部2号艇。勿論それは、その更に内側から舳先をかけんとする3号艇を絞り込むための行為であったが、結果的にこれがターンマークにおいて、生田5号艇への脅威に様変わりする。

外から安定した回り足で最後の一周を終えようとする生田選手に対し、内も内、ターンマークのほぼ真横から滑り込んでくる野田部選手。あわや不良航法、賞典除外まった無しの強烈なダンプが行われようとしていたのだった。艇が接触した。弾かれる生田5号艇。

しかし、その時に野田部選手は少しだけ、迷いがあったのではないだろうか。もしくは、ダンプなど想定外で、あくまでも3号艇を警戒していたら、気がついたら加速したまま内に張り込んでしまっていた、ということなのかもしれない。どうにも違和感がある一瞬があったのだ。艇が意思を持って接触を戸惑ったかのような、絶妙な一瞬である。

その刹那によって、生田選手と5号艇は生還した。ターンの最中に横槍を入れられ、バランスを崩しかけたが、しかし、なぜだか2号艇がその場に留まってくれたのだった。5号艇を弾いて空いたスペースに自分を押し込んで、そのまま年下の小娘に色気溢れる豊満な尻を押し付けて、一気に前へと出るチャンスが、2号艇には確かにあった筈だ。しかし、そうはならなかった。5号艇と生田選手が、気を取り直して回りきる隙が与えられたのだ。

実力の向上と巡り合わせが生んだ万舟券

確実な小回りと豪快な差し、そして奇妙な巡り合わせによって、結果的に生田選手はプロ入り後初の連対を達成した。A1選手の1号艇が無事に逃げ切ったのにも関わらず、三連単は160倍以上の配当となったことから、まだまだ生田選手が甘く見られがちであったことがわかる。しかし、これも今回の走りで少しは見直されるのではないだろうか。

また、なんといっても気になるのが、野田部選手と2号艇が、3周目1マークで何を思っていたのか、である。生田選手についてはくれぐれも、真に自分の実力だけで掴み取った2着だとは、勘違いしないでもらいたい。

いずれにせよ、今回の連対劇は、ボートレースの魅力が詰まった面白い内容であった。B級レーサーでも、観ているこちらを熱く興奮させるようなレース展開を披露してくれるのである。

下からの宿敵は続々と

ところで、さる2019年9月20日、日本にただ一つの競艇選手育成施設、ボートレーサー養成所にて、125期生の修了式が執り行われた。

登録5121号定松勇樹選手(佐賀支部)が優勝!~ 第125期選手養成訓練修了記念競走 ~ボートレーサー養成所修了式(ボートレーサー養成所)

未勝利の生田選手に、後輩誕生の瞬間が刻一刻と近づいている。処女のまま後輩を迎え入れることになるのか、あるいは…。ボートレース芦屋のヴィーナスシリーズは明日で最終日を迎えるが、生田選手はその後、10月28日からボートレース宮島でのG3戦「マンスリーBOATRACE杯プリンセスカップ」にも出場予定だ。ここで決められるか。


労働階級からの解放を志し、収入のアテもないのに突然脱サラ。後先考えないその姿勢に後悔しきり。

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