え!?そっちで勝つの? 柴田善臣騎手が伏兵で今年9勝目!


JRAの現役最年長騎手でありながら、最年長重賞勝利騎手の座を後輩に奪われている柴田善臣氏(57歳/東/フリー)が、今年15回目の重賞騎乗機会を手に入れ、一番人気に支持されたものの、4着に敗れた。それは致し方ない。何しろ一番人気といってもそのオッズは4.0倍であり、圧倒的支持とはかけ離れた状況だったのである。さらに従えていた馬はかつて氏の手により重賞勝ちを成し遂げた、良績ある存在だったとはいえ、もはや8歳、年の瀬の現況を考慮に入れればほぼ9歳馬だったのだ。しかし、人気は人気、本命党の耳目を集めていたことは間違いなく、そんな中で惜しくもとはいえ馬券圏外の4着ともなれば、批判の対象となることもまた、致し方ない世相ではある。

「次は負けないぞ!」がすぐ効く

負けようが勝とうが、数十年連続の重賞連対記録が途絶えようが、柴田善騎手はひた走る。10回走って9回負けることがほとんどである競馬騎手という仕事に於いて、一番人気に対する裏切りも、それほど珍しい現象ではないのだ。

さて、2023年12月10日のメインレースで上述の通り人気を裏切り4着入線となってしまった柴田善騎手のリベンジは、迅速に成し遂げられた。なんと次走である。

<JRAの公式動画より。決勝線>

大半の競馬場では、メインレースの後が最終レース、というスケジュールを組んでいるが、この日も例に漏れず、柴田善騎手が勝ち星を取り逃がした中山競馬場第11RのG3後には、最終Rの3歳上2勝クラスの一戦が組まれていた。芝のマイル戦であった。掲示板に馬番を載せるも本命馬券師たちの期待を裏切ったメインレースはダートの短距離戦であったから、かなり趣きの異なる一戦である。

馬心あれば芝心、とは余りにも。

趣きも異なれば馬の個性も走法も、持ち味も異なった。メインの重賞は一番人気を背負い好スタートから先行したものの直線で前を捉えられず、ジリジリと頑張るも4着に粘るのが精一杯、といったところであったが、本走では打って変わって、ほぼ真逆の戦法となったのだ。

つまり、十一頭中の七番人気に過ぎなかったブランデーロック(牡4歳/父マクフィ/東・小桧山厩舎)を駆った柴田善騎手は、出足の悪さから無理をせず最後方をポツンと追走、三四角から他馬とは別種の生物なのかと見紛うほどの強烈な加速力で大捲りを敢行した。僅か数秒で先行集団に食らい付き、直線でも力強く抜け出した柴田善騎手は、最終的には後続に一馬身以上の差を付けて、前走の雪辱を果たしたのだった。

柴田善騎手は前走の敗戦に心囚われることなく、直線の短い競馬場ならではの捲り戦法をとり、見事にハマらせたのである。切れ味が発揮されやすい芝のレースとはいえ、急カーブを操舵することとなる中山のマイル戦にあって、外にそれほど振り切られずに捲っていけたことは、さすが柴田善騎手、まだまだ力も技術も一級品、といったところだろう。

<JRAの公式動画より。画面一番右の黄色帽子を被ったのが柴田善騎手。最後方から僅か十秒足らずでこの位置に>

一日で本命党に嫌われ、穴党に好かれた柴田善騎手。これが良いのか悪いのかといえば、多数決が正義である民主主義社会においては、決して手放しでは褒められるべきではないだろう。しかし、馬に衰えが見られよう共、氏にはそれが無さそうなことは推し量ることが出来るのではないか。

これで本年9勝。二年ぶりに年間二桁勝利に大手が掛かった。残り二週しかないが、いやそれだけに、注目しておくべきだ。


労働階級からの解放を志し、収入のアテもないのに突然脱サラ。後先考えないその姿勢に後悔しきり。

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