前節においてレーサー人生初となる1号艇での出走を経験し、勝利を収めた前・最年少女戦士、生田波美音選手(17歳/B1/124期/東京)。決まり手こそ当然のように「逃げ」であったが、その内実は、2号艇から直捲りを喰らって1艇身半近い差を付けられた挙句、何故だか1マークの小回り旋回で先頭に躍り出ていたという、なんとも妙なものであった。
あれから二週間足らず、地元で再びのチャンス
さて、今節である。2020年7月27日からボートレース多摩川で開催されていた四日間の短期決戦、「夕刊フジ杯」(一般)。その最終日である7月30日の第8Rで、またも生田選手は1号艇に配されたのだった。そして表題の通り、当たり前のように逃げ切ってくれたわけだが、少しだけ掘り下げてみたい。

まずは上掲の出走表だが、最終日の一般戦とあって、ド低調な面子が揃い踏みしていることに失笑を隠せなかった舟券ファンもいたことだろう。一人だけA級選手が配されているとはいえ、その成績は酷い有様、初日に舟券へ絡んで以来、66656着ではお話にならない。
最低勝率だって!?
五人のB級レディたちにあって、全国勝率こそ生田選手が最小だが、彼女はまだデビューして二年目の成長株なのである。2.98という低調な数字は、あくまでも1号艇を貰えなかった新人時代の彼女が残した、いわば遺物に過ぎない。その証拠に、と胸を張れるほどの数字でもないが、前節と今節を合わせた勝率は、しっかりと4.57というメンバー中位の数値を叩き出しているのである。
最悪モーターだって!?
モーターの2連対率も生田選手の59号機がメンバー最低値をつけている。20%を切るとなると相当なポンコツ具合を疑ってしまうが、これは前開催の使用者が126期の新人レーサーであったことが要因の一つだ。

6着八回に転覆一回のおまけが付き、2連対率の数字を下げるにあたって絶大なる貢献をしてくれてしまっている。しかし、この新人レーサーが、さらにとんでもなく的の外れた整備を施してしまっていれば、モーター性能がより激烈に悪化することは確かに想像できる。もしそうであれば、生田選手はとてつもない不運に見舞われて、14.29%という目も当てられぬ数字に全く違わぬ価値しかないヘッポコ発動機を手にしてしまったことになるが、果たしてそうだったのだろうか。
生田選手はこのモーターをボートへ積んで、いきなり2着に入っているのである。レースを重ねて整備を繰り返した数日目ではなく、初日の、一走目にだ。この事実から判断できるのは、モーターそのものはそこまで悲惨な状態に陥ってはいなかった、ということであり、さらには、新人君の拙い整備や転覆にもめげず、少なくとも数字以上の力は保持していそうだ、との予測が成り立つということである。
さらに、出走メンバーが使用する他のモーターを見ると、全くもってどんぐりの背比べ、2連隊率40%を超えるような好モーターはおろか、30%台の後半をマークできるような中堅機も居ないのだ。唯一、前開催の優出モーターが34.88%という数字を引っ提げているが、それが積み込まれているのは生憎と6号艇であり、そこまで気に留めることでもないのであった。
これ、なんだかんだで順当に1号艇なんじゃねぇか?
このように、見かけの全国勝率とモーター2連対率に踊らされないように出走表を読んでいくと、いくら静水面で捲りも決まりやすい多摩川といえど、絶対有利の1号艇ともなれば、ピット離れとスタートをトチらない限りは、生田選手の逃げ切り必至だと誰もが思い至るのではないか。

而して、生田選手は人気を集めることとなったのだった。1-3-2、1-3-4が16倍、定番の1-2-3も16.8倍と、3連単一桁人気に到達するまでは集中しなかったから、押しも押されもせぬとは述べがたいが、舟券ファンにその実力を認められつつあるのは間違いないだろう。
結果はフツーのイン逃げでした。

レースでは、A級選手の3号艇がトップスタートを決めるも、生田選手と同支部の2号艇選手が壁役となって絞り切れず、それでも懸命に捲りを敢行したが、届かずに終わった。3着には前節の優出モーターを積んだ6号艇が入り、配当は2,420円といえど四番人気の決着。最低勝率の女が、最低連対率のモーターを引っ提げてもぎ取った、堅めの勝利であった。
今後も1号艇がコンスタントに貰えるぞ、かくなる上は…
一節一勝はA級レーサーを目指すにあたって是非とも達成し続けて欲しいところだ。7月1日にB1級と表示されて以降、ここまで二節で二勝。2021年の日の出をA級ライセンスで迎えられるのかどうか。白服もあてがわれるようになった今、期待は高まるばかりだ。次節は8月5日から。ボートレース蒲郡で開催される「男女W優勝戦 日刊スポーツ杯争奪第50回蒲郡大賞典」という豪華な名前の一般戦に出場予定の生田選手。さらなる飛躍さえあるかもしれない。