重き荷を負うて、白石有美選手がいよいよ遠き道を駆け上って来たか。


正に箸にも棒にも掛からぬレーサー人生を、水上ながら地で突き進んでいた白石有美選手(24歳/B2/東京/118期)が、徐々にではあるが真っ当なボートレーサーとして一本立ちしつつある気配の片鱗が感じられる旨は、既に書いた

アレじゃない? そろそろアレなんじゃない?

ボートレース特有の強制引退ルール、原則として四期、つまり単純計算で二年間を通算してのボートレース勝率が、3.80を下回った状態となると、二か月間の猶予を経た後に博打のコマを降りなければならない、という非情な規則は、今のところ白石有選手への適用はまだ先だ。デビュー後三年の算定免除期間が明けた後は、俗にいう49走止めや私傷病による長期欠場等があり、未だ算定に入って三期目を消化中である。

<艇国データバンクより。最下段の「2023年前期」が2022年5月1日から10月31日までの成績を表している>

だからその大きかろうお尻に未だ直火が触れることは無いかと思いきや、事態は逼迫していた。2023年前期適用成績までのレースを振り返ってみると、出走155回のところ単純計算で着順点は368、よってそのボートレース勝率は僅か2.37という数字に留まっているから、それはもう臀部どころか腰まで業火に焙られていると表現して良い。なるほど、いかにも昨今のレース振りはしっかりしている。真にレーサーである。

<艇国データバンクより>

ちなみに、上掲した昨日までの成績を加えると、ボートレース勝率は2.67。まだまだ足りない。

ロケットエンジンを積んだジェット女体、驀進す。

そして今日、黄金週間の前半に湧き上がる国民たちを尻目に、淡々と開催日程を消化する「G3オールレディース マクール杯」は、朝もはよからボートレース唐津での開催二日目を迎えていた。下半身付近から吹き上がる烈火の如き情熱をもって挑む白石有美選手は、二回走りの初走を好スタートから4着とした後、二走目に臨まんとしていた。

<BOATRACEオフィシャルウェブサイトより>

今節の白石有選手が手にしたモーター、45号機は、前節で現役最高峰のレーサーが1着七回2着二回という圧倒的な成績で優勝に至った程の名機である。その節だけの優出であるなら、最強舟人の腕前一つで捥ぎ取ったものとも考えられるが、それ以前にも本機は優勝経験があり、優勝戦出場そのものにまで視野を広げれば、年明けからの八節中、実に三節で優出経験がある。安定して良績を残している絶好モーターであることは間違いがない。昨年の八月に卸してから連対率46%弱、実に出走の半分近くが2着以内という強烈な数字からも、モーターそのものに猛烈な底力があることは見て取れる。

<ボートレースからるOfficial Siteより>

白石有選手自身も今節は思い切りが良く、ここまでのスタートタイミングは.17、.05と、出走表内のライバルを見渡しても一歩抜きん出んとする好調っぷりだ。10kg近い体重差により直線での伸びは皆無の為、抜群のスタートから道中ジリジリと抜かれての4着入線が続いているが、それでも、2周2マークくらいまでは3着入りの可能性たっぷりの、舟券師をハラハラワクワクさせてくれる程の激戦を演じているのである。

あっさり鮮やか…な旋回ではあったが、ま、勝てば官軍。

果たしてレースでは、.08のスタートから綺麗な捲り差しを入れ、ものの見事に通算4勝目を挙げた白石有選手。昨今の好調ぶりや絶好機が舟券師たちに評価された結果、3連単の配当も万舟に届かないという、押しも押されもせぬ確かなそして微かな支持を集めての勝ち星であった。

<BOATRACE BBより>

若干の追い風もあって全艇が攻めたスタートとなった為、.08でも目立たないが、フライングを恐れず確かに踏み込めるという実態が、何よりも大事である。上掲の通り、決まり手が「抜き」となっているのが白石有選手らしくて面白い。最初のターンマークでは、きっちりかっちり鮮やかな捲り差しが決まっていた筈なのだが、10kg弱ハンデの宿命か、バックストレッチで内から四号艇にスルっと躱されているのである。

<6枚ともBOATRACE BBより。最初の1マーク手前。差しに構えた二号艇の減速が早過ぎたことにも助けられ…>
<即座に捲る東京の赤福こと白石有選手>
<そのまま一号艇の内を差し抜けて、お見事!と思いきや…>
<次のターンマークでは内を掬った四号艇に先手を取られているという魔術師じみた走り>
<しかしめげずに差し足鋭く…>
<突き抜けてようやく首位の座に>

かつての白石有選手であれば、そこからモタモタズブズブと後退していくところ、やはり今は違う。慌てず騒がず鋭く差して、見事にリードオフウーマンのポジションを取り戻したのだ。だからまぁ、決まり手となると「抜き」ということになるのだろうが、あの捲り差しでも凌げないという、体重差の猛威には驚愕せざるを得ない。

外より内を突くスタイル、と書くと気迫があるかのよう。

三号艇の白石有選手といえば、以前勝利した時も捲り差しであった。当時はスタートから後手を踏んだ一号艇を飲み込んでから、張って回る二号艇の内を差したので、二号艇を捲って一号艇を差した今回とは様相が異なるが、何れにせよ、三号艇のセオリーたる捲り旋回ではないことは、留意しておくべきだろう。白石有選手は後輩の長身ヤンチャ娘である生田波美音選手(20歳/B1/東京/124期)とは異なり、殆ど捲り旋回をしない。全速ターンが怖いのではないか、という疑いすらどこかに書いた気がするが、彼女の旋回は差し、差し、差しだ。前回の勝利は二号艇2コースからのものだったからセオリー通りの差しとはいえ、特にスタートして最初の旋回について、白石有選手の捲りは想定しても的中予想の足しにはならないのではないだろうか。

計算間違いあったら勘弁して下さい。許して下さい。

とにもかくにも、これで四期通算勝率はさらに上がり、2023年後期終了時点で恐らくは2.71となった模様だ。いよいよ四期目を迎えるわけだが、拙速な計算によると、ここを50走して404点もの着順点を集めれば、晴れて生き残りとなるのではないだろうか。そうなった時、その期のボートレース勝率は8.08となるから、ドA1も真っ青の、図抜け大一番小判型の器にも収まらぬ優良成績である。B2級では沢山のレースに顔を出すことが非常に難しい為、やはり来期も49走止めとなるのが現実的な線だろう。

いや、仮に150走出来たとすると、稼ぐべき点数は788だ。そのボートレース勝率は5.25程度となり、かなり現実味が出てくる。白石有選手がどういったレーサー人生を歩んでいくのか、天下取りまでの遠き道が、まだあるのか。今後も注目だ。

なお、各種計算は、数Ⅱ数B共に一桁得点で補習となったド文系の拙筆によるものなので、大いに間違っている可能性があることを付しておきます。ご了承下さい。


労働階級からの解放を志し、収入のアテもないのに突然脱サラ。後先考えないその姿勢に後悔しきり。

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