昨年の今頃、即ち冬の江戸川で突如として初勝利を挙げた、元最年少女子レーサーの白石有美選手(24歳/B2/118期/東京)が、このところ好調である。デビュー以来491連敗、しかもその殆どが舟券外という、まさに平成から令和にかけての史上最弱ボートレーサーであった彼女は、その恵まれ過ぎた体格ばかりが注目されるが、技術的にもとんでもなく拙いものがあった。しかし今年に入ってからはどうも様相が異なるのである。
かつては「惜しい2着すらないヤバイ選手」だったが。
新年明けての一節目は、もちろん勝ち星こそないものの、下掲の通り2着二回3着一回。九回走って最下位はたったの一度だったのだ。

大いなる課題の一つであった体重も、55kg超が当たり前であった筈が、初勝利が精神的成熟を齎したのか、男子選手並の重さに落ち着いてきている。そして迎えた二節目。とうとう万舟券が飛び出した。
江戸川専用機として君臨するかと思いきや…
2023年2月8日。ボートレースびわこは6日間に渡って激戦が繰り広げられていた「びわこヴィーナス!第3回酒処京都新京極スタンド杯」の開催最終日を迎えていた。ここまで白石有選手の成績は、下に掲げる出走表の通り4着五回5着二回。普通のボートレーサーであれば苦戦中といったところだろうが、これまでの白石有選手を考えれば、舟券にこそ絡んでいないものの、6着が一度もないというのはかなり調子がいいといってよかろう。

何しろ昨年は、11節に出場したものの、6着入線が無かったのはたったの1節であった。今節を含む全598走のうち、半数を優に上回る378走で6着となっているというデータもあるから、いよいよもって白石有選手と最下位との関係は密接なものがあると断ぜざるをえない。

そのような体たらくであった者が最下位0回ともなれば、今節の白石有選手が如何に調子よく走れているか、過去を振り返れば振り返る程に噛み締められたる4着五回5着二回なのである。
出走表に戻ると、体重は53.0kgとある。女子としてはかなり重いが、すぐ外の三号艇にしたって52.5kgだし、この節には参戦していないが、同じく元最年少女子レーサーとして鳴らした後輩の生田波美音選手(20歳/B1/124期/東京)だってここのところは似たような重さに落ち着いている。もはや白石有選手は大和でも長門でもなく、普通の船乗りたるに相応しい人物になりつつあるのだ。
女子のA2級は本当に輝きに欠ける……
さて、相手関係を見てみると、ここでも白石有選手が決して見劣っていないことがわかる。ボートレース勝率で彼女を下回る選手が二名もいて、内側の一号艇はA級選手だとはいうものの、そのボートレース勝率は4.32と、A級とは誤植なのではないかと疑うほどの低い数字であり、おまけに白石有選手よりも一期後輩であった。

そう考えると、いくらこの7年近くでたったの2勝しか挙げていないとしても、白石二号艇アタマの舟券も考えられなくはない。2-1-3の55.1倍と3-1-2の50.2倍という数字からは、一号艇が逃げられなかった時のアタマで悩みに悩み、舟券師たちの決断がパックリ割れたことがはっきりと伝わってくる。節間2勝2着二回の三号艇が優勢なのは当然であるが、一度たりとも舟券に絡んでいない白石有選手がその次に支持されているのだから、今節の彼女が一味違うことは充分に認められているといえる。
二号艇の定石は差し。
さて、白石有選手が勝つパターンを考えると、真っ先に思い至るのが、逃げる一号艇を三号艇が捲りにいったところ、一号艇が張って抵抗し二梃が外へ外へと流れていくなか、最内をしっかり差した白石有二号艇が突き抜けて2マークでもしっかり先に回る、というプランである。
果たして、全くもってそうなった。






極めて理想的な展開に遭遇した白石有選手だが、それをきっちり活かせるようになった辺り、レーサーとしての成長を伺わせる。体重差のハンデが少なくなったことも大きかろうが、今後はひょっとするとひょっとして更なる活躍があり得るのかもしれない。直近二節のような成績を維持できれば強制引退も避けられうる。舟券的にも情報のアップデートが必要だろう。
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