【結果考察】第63回大阪杯【2019】


2019年3月31日、元G2産経大阪杯が発走となり、終わった。勝ったのはなんと九番人気、3枠3番のアルアイン。同い年の菊花賞馬と、一つ年下のダービー馬に、最後は左右両脇から詰め寄られるも、皐月賞馬の意地を見せてしのぎ切った。

きたむら・・・キタシバスペイン?

アルアインの鞍上は北村友一騎手。まだ32歳ながら、既に650勝以上の勝ち星を積み上げているという、次期トップジョッキー候補の一人だ。関西ではお馴染みだが、こと関東のファンには知名度が高くない。北村といえば宏司だろうというのが、東国の常識である。少しオタクになってくると、「宏司じゃない方の北村?栗東の?・・・あー、あのエリモハリアーの?」と見当違いをするかもしれない。

関東の人間でなくとも、先週のG1、高松宮記念で1番人気馬に騎乗して馬券圏内へ届かず、大穴馬券を演出した騎手として名を知って、今回買い控えたライトファンも多かろう。そして、「てめぇ先週来いよ!なんでこの馬持って来れて一番人気は来ねぇんだよ!」と悪態をつくのである。今年に入ってから規定の年齢に達し、馬券を買い始めた人々は、この二週間で嫌な思いをしてしまったかもしれないが、人気馬で取りこぼした勝ち星を穴馬で取り返す、ということは、多くの騎手で実によく生ずる。

そして、中山や東京、大井川崎船橋浦和に足しげく通い、関西はたまに、本当に余裕があるときに重賞だけ、といった馬券生活を営む関東競馬ファンの皆様におかれましては、本当にご愁傷様です。

アルアインが成長!

1着のアルアインは、好時計が出るような「高速馬場が得意」という話だったが、実際には緩い流れのレースを先団で我慢し、力強く抜け出して押し切ってみせたという、終わってみれば、スピードよりもパワーを強く感じさせるパフォーマンスであった。画像で一目瞭然のとおり、行きたがる馬を北村友騎手が上手に押さえ込んでいたことを鑑みると、速い勝負が好みなのは間違いなさそうだったが、今にして思えば、「変わり身を期待。」とはなんと不気味な物言いだったことか。調教師は内心、前走より劇的な進化を遂げていることを知っていたのではないか。調教師は、「変わり身を期待」している、と言いたかったのではなく、「変わり身を期待」して待ってな、と記者に、その向こうにいる馬主に、ファンに、伝えたかったのかもしれない。チャンスはなさそう、とは読みが足りなかったか。

JRA公式動画より。ゼッケン「3」をつけるアルアインの鞍上は、他馬の騎手と比べて足を突っ張り、後傾姿勢をとっているのがわかる。

奇跡の逃げ失敗。2の2の2の2着。

二番人気のキセキが、人気通りの2着。4枠6番のど真ん中から、発馬は取り立てて良くはなかったものの、出負けすることなく前へついていくことができた。窮屈なカーブが迫る小回りコースで、逃げの立場は内側の馬に譲ったが、「スタート」「さえスムーズにいけば、良い結果を出せる」との言葉に偽りはなかった。「毎日王冠の時より格段にいい」なら、G1勝った時と比べたらどないやねん、という疑問の回答が出たかたちである。G2で3着となった時より「格段にいい」場合は、G1では勝てずとも、馬券圏内には入れる、ということだ。

JRA公式動画より。6番キセキは黄色い帽子の隣にいる青い帽子。平々凡々たるスタート。

福永騎手はG1連勝ならず。

昨年のダービー馬、2枠2番のワグネリアンは四番人気を背負っての3着。休養明けで「ダービーの状態には戻り切っていない」なかで「力を出し切」った結果といえるだろう。万全となれば逆転までありそうだ。

マカヒキ摩訶不思議、大復活か

人気と着順とのギャップを考えると、大健闘といえるのが1枠1番のマカヒキ。実に十番人気からの4着である。しかしそもそも、もう三年も前とはいえ、ダービーを制した馬が十番人気というのは、随分と低く見られたものだ。下馬評を覆すかのごとく、「少し余裕残し」だった前走より体重を8kg落とし、「上向いている」体調を生かして追い込んできた。直線では進路を求めてカニ歩きしていたロスもあるし、もし完調となれば、こちらも逆転の目があるかもしれない。

JRA公式動画より。画面中央の白い帽子がマカヒキの鞍上。
JRA公式動画より。眼前の二頭に割って入る隙がないため、画面中央のマカヒキは、ピンクの帽子に向かって横移動を始める。
JRA公式動画より。前がふさがっており、とうとう桃色帽子の真横まで到達した白い帽子とマカヒキ。

ただ今回は、最内枠を生かしてスタートから四コーナーまで、最も経済的なコースを通ることが出来たし、なおかつ同型の脚質を持つ強敵も見当たらず、ストレスフリーな振る舞いが可能であった。マークされる立場となればこうはいくまい。次が正念場だ。

新進気鋭の5歳馬、誕生

五番人気のエアウィンザーが、ゴール直前で4着馬に交わされて5着。人気通りに収まってしまった。ただ、自分より速かったのは、皐月賞馬とダービー馬二頭、菊花賞馬だけである。「秘めている能力」の開花は近いのではないか。「いいレース」だった。

さぁて、今週のガッカリさんは?

人気を大きく裏切ったのは、ペルシアンナイトとステルヴィオの二頭だろう。特に7枠11番ペルシアンナイトは、三番人気に推されていたところ、まさかの11着である。レース映像を見る限り、最後の直線で二頭に挟まれて競り合いになるが、騎手はムチを一発入れた後で不意に追うのをやめてしまっている。これでは仕方がない。多くのファンが注目するこのような大レースで、八百長をやるなどとは到底考えにくいが、馬券を買った人々には不満と不審が募るような幕切れであった。「切れ味を生か」す気が鞍上にあったのかどうか。あったのだとは思うが。

JRA公式動画より。ゼッケン「11」のペルシアンナイトは右端。静止画ながら、他の騎手と全く違う雰囲気が醸し出されている。

同じ7枠の12番ステルヴィオは、六番人気で最下位。「展開が流れ」ない理想的なスローペースを、中団よりやや前で追走。「うまくタメを利かせ」られたかもしれないが、最後の直線、坂付近で失速。力尽きた。「2,000mも克服できる距離だと思います。」という不確かさ満載の発言に敗因が凝縮されていた。

大阪杯かぁ、地方重賞の名前だよなぁ

皐月賞馬の復活が印象付けられた今回の大阪杯。経緯は異なれど、なんとなくダイワメジャーを想起させる。今後の活躍に期待したい。

また、結果だけ見れば、内枠が相当有利だったのではないかと思料せざるをえない。馬番だけ着順通りに並べれば、3→6→2→1→9→7→13→5→14→4→11→8→10→12である。前七頭の馬番は合計で41、後方七頭は64だ。もっと極端かつ明確に表せば、馬券になった三頭の馬番合計は11、最後尾の三頭は30である。この差は理不尽なほど大きい。小回りのカーブ四つ。しかもスタートして最初のカーブがヘアピンに近いのである。外枠勢が先手を取るには相当な発馬センスと出足が必要だ。同じ小回りでも中山の2,000mとはわけが違う。G1としての格式あるレースを展開するためにも、見直しが必要なのではないか。


労働階級からの解放を志し、収入のアテもないのに突然脱サラ。後先考えないその姿勢に後悔しきり。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です