梅は咲いてしまったが、桜が咲くまでには間に合った。柴田善臣騎手(52才/フリー)が、2月23日の中山競馬場第1競走で、今年初勝利をあげたのである。
御年52歳、3歳の女の子に連れられて快勝
ベテランもベテラン、JRA最年長騎手の柴田善氏に久方ぶりの勝利をもたらした騎乗馬のディレット(牝/3歳)は、2月2日に東京競馬場でデビューし、同じく柴田善騎手を背に逃げ残って3着であった。直線走路が長く逃げ馬不利となる東京のダート1400mで、当時は8番人気の低評価だったところ、柴田善騎手の持ち味、熟年の折り合いで上手く逃げた。人気以上の着順に持ってこられたのは、他馬の競り掛けがなかったことの他に、鞍上の安定感ある騎乗振りと、あたりの柔らかさが影響したことは想像に難くない。最後は力尽き、もう50m程度ゴールが遠ければ、確実に6着以下へ沈んでいたほどの失速となったが、読みきってギリギリ間に合わせたとも見える。
今回は中山競馬場のダート1200mであった。一転して逃げ馬有利のコース、しかも中山ダ1200mといえば柴田善騎手が最も得意とする、まさに自宅の庭といっても過言ではないほどの走路設定である。芝部分を長く走れるため出足がつきやすい外枠とはいかず、4枠7番だったディレットが、しかし3番人気に押されていたことからも、ベテラン騎手への高い信頼感が伺える。
前走同様にそこそこの出足から先手を奪いにいったが、内側にいた2枠3番のカッチョエペペが、騎手の若さを活かして前を主張したため、二番手に控えた。このとき、つまりスタート後200m~400mの1ハロンは、僅か10.8秒で駆け抜けられており、柴田善騎手がこの選択をとらなければ、レース全体がどえらいハイペースで展開される恐れがあった。
4コーナー手前あたりから徐々に追い出しを始め、直線では前をいくカッチョエペペをかわし、先頭。残り200mのハロン棒を前にして後続を突き放すかの勢いを見せた挙句、その後に迎えた中山特有の急坂でも、他馬と比して力負けすることなく上りきり、完勝となった。終わってみれば、先行抜け出しの王道騎乗であり、老いを感じさせないブレない騎乗振りを人々の目に焼き付けさせている。
ディレットのデビュー戦は男女混合戦、今回は牝馬限定戦だったため、もしかすると、ややメンバーの格が下がっていたかもしれないが、牝馬連中のなかでは特に坂を苦にしていないため、同馬の展望は明るい。問題は、柴田善騎手の前途である。
老いは誰にでも来る。が、それにしたって加速度が・・・
2月も下旬に差し掛かっての初勝利となった柴田善騎手だが、近年の勝利数は減少の一途を辿っていて、痛々しいほどである。1993年から2015年まで、実に13年連続で必ず年間40勝以上をあげていた名手が、過去3年は下記勝利数に落ち込んでいる。
2016年:36勝
2017年:16勝
2018年:7勝
今年で辞めるのでは、という声が囁かれるのも当然だろう。1998年から、2001年を除いて2005年まで、必ず年間100勝を達成しており、翌2006年も99勝と気を吐いていた。通算2257勝は、JRA所属騎手の歴代5位につける勝ち星数である。しかし上記のような状況下から推し量る限り、近いうちに天才のご子息に抜かれてしまうであろう。
勝てないのは、なぜだ。勝てないと思われているからさ。
抜群の安定感が光る騎乗術は不死鳥・岡部幸雄騎手に重宝され、柴田善騎手はいわゆる岡部ラインの事業部長的ポジションを務めていた。一方そのためか、G1では岡部騎手の手前なかなか活躍の場がなく、また本人にも少し緊張しいなところがあって、いまのところ実に9つしかG1を勝てていない。重賞全てを含めれば93勝となるが、通算勝利数4位の騎手、6位の騎手が共に120コ以上重賞を勝っていることを鑑みれば、明らかに少ない。
成績結果が先行してしまい、大一番に弱い、という印象が関係者に染み通ったようで、これがそのまま有力騎乗馬の減少にも繋がってくる。ここが、同年代で同じ関東の横山典弘騎手や蛯名正義騎手と比較して、よりいっそう凋落が激しくなっている一因だろう。誰だって、ここぞという大一番を、プレッシャーに弱いロートルにお願いしたくはない。がむしゃらな若者、居なければ渋く堅実なベテランに勝機を託したくなるものだ。
ここからご祝儀依頼が増えての大躍進があるか
前年の半分未満しか勝てない、という年間勝利数の減り具合から察すると、2019年は僅か3勝に終わることが現実的である。今日の勝利がそのうちの1つ目になってしまうのか、はたまた、もう一度輝きを取り戻し、再来年に最高齢G1勝利記録を更新することができるのか、しっかりと見守っていきたい。
ちなみに今日は中山10Rでも今年初の2着を確保しており、騎乗技術に衰えは見られない。
テレホンカード テレフォンカード 50度数 テレカ 1996.5.12 第1回NHKマイルカップ タイキフォーチュン 柴田善臣(26969)(26969) |
