「パチスロじゃ、もう食えないよ」と言われだしてから15年ほど経とうとしている。いまやその発言は当たり前も当たり前。「お寿司にはやっぱりお酢を使わないと」というくらい当然な話だ。感服するのは、まだパチスロに夢と希望を求める人々が生き残っているという事実だ。
スロッターの血はファンからファンへ、着実に引き継がれている
いまのパチンコホールを支えているお客の中には、4.7号機撤去の際まだ小学生だったという人もいる。彼ら彼女らは、さすがにホールデビューした当初から5.5号機世代だったこともあり、パチスロで食っていく、という気は無さそうだ。「一日頑張って上手くいけば、2万円が3万5千円に増えるかも」という謙虚な希望を持ってホールに挑んでいるようである。パチスロいまだ死なず。見事に、食えない、と表現された暗黒の時代から、遊びでお金が増えるかも、とポジティブに捉えられる媒体にまで這い上がったのである。
横長のボーナス図柄がたまらない、エヴァ
4号機末期のあの頃は、5号機の初代エヴァンゲリオンがデビューし、その空恐ろしいコイン持ちの良さでホール、客とも面食らって暗澹たる気持ちに陥ったものだ。

曰く、「これだけ吸い込みが遅いってことは、それだけ、出玉速度も遅いってことで・・・じゃぁ、高設定を一日中打って、いったい何枚出せるんだ?」とスロッターの多くが危機感を覚え、ホールもホールで頭を抱えた。「4号機が未だいっぱい現役で稼動してるから、お客さんはなかなか5号機に長居してくれない。さらにこんな吸い込み悪いなんて、どうやって利益出せばいいのよ?」と焦りに焦り、しかし4号機が存在する限りどうすることもできず、いざ5号機オンリーとなった時にはすでに悪循環ここに極まった状態で、体力の無い店舗から順に消えていったのだった。
4から5へ、5から6へ。その違い
さて現代である。5号機がまだ頑張っている中で、続々と6号機が投入されているこの状況は、一見すると4号機末期と同じような気配だが、実にその性質は大きく異なる。
4号機時代も最後の方は、今から考えれば馬鹿らしいことこの上ないタイアップ機が登場して、衰退する業界に追い討ちをかけたが、他の4.5号機や4.7号機が高稼働を続けていたこともあり、「それでも5号機の方が酷い。ジャグラーでも350枚取れなくなる」等という声が大きかった。とにかく5号機はやばい、5号機は不味い、5号機の6より4号機の3、天井まで半分切ってれば1でも4号機、と頑なであった。
一方 、同じようにひとつの時代が終わろうとしている2019年は、そんな状況に陥っていない。少なくとも、6号機の6より5号機の3、とは言われない。むしろ、5号機最終世代の5.9号機と比べれば、6号機の方がストレスがなく、良い印象すら抱かれている節もある。純増2枚のARTが最大1500ゲーム近く続いてしまう5.9号機と、純増12枚のATが200ゲームも続かずに終了する6号機。かたや6万円分出すのに2時間半もかかるのに対し、これからは5万円近く出すのに30分とかからない台が出るかもしれないのである。極端な概算を上げたが、こんなもの6号機の方がいいに決まっている。
5号機世代の最新作でありながら、敢えて世代を超えて最低の地位を目指した?
5.9号機がホールに降臨したとき、「この業界には神も仏もいないのか」と嘆いたオールドユーザーは多い。しかし今から思えば、この劣悪な5.9号機こそは、6号機の登場を格好良く見せるための、新世代のパチスロ機が正に救世主よろしく颯爽と参陣したかのように見せ付けるための、噛ませ犬的存在だったのではないだろうか。
4号機の終焉と共に多くのホールが殉死したが、今回はその轍を踏まない様、当時の教訓を生かし、敢えて厳しい自主規制を定め、5.9号機という産廃まっしぐらのシリーズを展開したことにより、業界の将来を守ろうとしたと考える方が自然である。5.9号機はそれほど凄まじい負の怪物だ。
すると不憫なのは、5.9号機の連中に搭載された液晶演出や音声、楽曲である。作家や声優を雇い、良質な演出として作り上げられたのにも関わらず、機種が持つ出玉性能の低さゆえに、満足に日の目を見ることが出来ないのだ。かの物たちは、きっと6.5号機で立派にリメイクされるだろう。期待してやまない。
とまとちゃ~んす!
さて、4号機末期と全く同じ状況にある機種もある。リノである。5号機のリノ、スーパーリノは、規制の盲点を上手に突いて世に出された強烈な異端児であり、売れっ子競艇ライターういち氏の宣伝などにより徐々にシェアを伸ばしてきた力作だが、6号機として満を持して登場したスーパーリノXXは振るわない。閑古鳥が鳴いている。特にリノやスーパーリノ、ハイパーリノが生き残っている店舗では、終日0回転の日が3日続くこともザラである。
それもそのはず、6号機リノのボーナスはどれを揃えても100枚程度。通常時のコイン持ちは上がったものの、トマトが揃い易くなってはいない。ボーナスの枚数が減った分、連荘性能は若干向上したが、目に見えてダラダラした、5.5号機以降らしい腑抜けた雰囲気がある。リノの人気は、千円でほとんど回せない吸い込みの厳しさと、いざトマトが揃ってからの壊れたかのような連荘性、という落差がもたらしたものだ。「前のリノ、まだあるんでしょ?ならそっち打つわ」となるのも当然であろう。スーリノXXの6より5号機リノの3である。皮算用できる出玉の差が半端ないのだ。
6号機リノが日の目を見るのは、5号機リノシリーズの絶滅を待たなければならないだろう。しかし、これは絶対確実に死滅するので、オリンピックが終わったくらいには、世界中の人々と楽しくスーパーリノXXを打てる日が来るのではないかと思う。
ありがとう5.9号機、そしてさようなら。
6号機オンリー時代への不安はあるが、少なくとも4号機から5号機へ移り変わる時のような絶望感は漂っていない。それはひとえに、5.9号機のおかげである。しかし、いくら末期5号機の良いところを探して突き詰めても、結局はこの程度しか役には立たないのだった。
