花火師のドンちゃんが働いている七屋のライバル、悪屋の、看板娘を主役にしたパチスロ機がデビューしたようだ。ようだというのは、よく立ち寄るホールにはまだ導入されていないからである。
男の次は女が主役。均等に。平等に。
大ヒットして次々と続編が作られるパチスロ機には、こうしたスピンオフ作品が付き物である。同じメーカーからは過去に、同じくドンちゃんの恋人であり師匠の娘である葉月ちゃんを主役にしたパチスロ機が発売されていた。また、ミリオンゴッドシリーズからはアナザーゴッドハーデスのスピンオフとしてその嫁さんが発売されている。

ユニバーサル系列のスピンオフには、ヒロインを主役に据える、という特徴があるようだ。是非は問わないが、過去2作が当たったとは言いがたいために、今回の新作もなんだか懐疑的な目をしたまま触れることになるだろう。
しかし、思い返してみれば葉月ちゃんは、6の割が高すぎてホールが上手く扱えなかっただけで、システムとしては悪くなかったし、アナターのワイフゆるせぽねだって、そこまで罵倒されるような出来ではなかった。確かにダラダラダラダラしているが、他のミリオンゴッドシリーズよりもGODが5倍近く揃い易かったため、瞬間的なストレス解消には良かったものと思う。
ただ今回のアナザーHANABI弥生ちゃんには、前2作と大きく異なる点がある。それは知名度だ。
弥生ちゃんって、それほど有名か?
葉月ちゃんはドンちゃん3兄弟を股に掛けるヒロインで、5号機ドンちゃんシリーズ全てに顔を出している。その数は6機種以上にものぼる。神話的存在を名指ししてしまい恐れ入るが、ペルセポネだって、登場機種こそ1つではあるものの、AT中の存在感たるや激烈なもので、宇宙世紀でいえば容姿ともどもハマーン級の扱いであろう。

しかし弥生ちゃんは違う。まず、そのキャラクターが弥生という名前であったことすらどれほどの人が知っているのか、怪しいものだ。登場した各機種では、ヒロインでもなく、敵の親玉でもない。他社でいえば、黄門ちゃまシリーズのそれぞれに出てくるお銀のライバル程度の位置である。精一杯贔屓目に見れば、番長シリーズでいう疾風のサキ的なポジションにあるかもしれない。だが、番長とサキさんがバスケやドッジ、バドミントンはもちろん水泳に至るまで、シリーズの様々な機種において、熱エロい戦いを演じているのに対して、弥生ちゃんとドンちゃんとの直接対決の印象は、非常に薄い。もしかすると、そんな場面は無かったのではないだろうか。サラリーマン番長で、雫と花見の場所を取り合う和服の女。そのあたりとどっこいどっこいの位置づけなのではないかと思っている。
そんな女が、ハナビシリーズはおろかメーカーそのものが送り出す初の6号機の主役だといわれても、しっくりこないのである。
誰もが未知の冒険。慎重に挑まれる6号機市場
たしかに、各メーカーの初6号機を見ていくと、初めての経験だからなんとなく試験的に、ちょっと遠慮した感じ、といったスタンスのものが多い。大都技研は、看板である番長シリーズの異端児、サラリーマン番長の、さらにライバルをスピンオフとして世に送り出した。コケるのを覚悟で念には念を入れている。番長の看板には傷を付けたくないのだ。操ちゃんもびっくりの用心深さである。当時の経験が活きている。KPEも、自社系列のブランドである戦国コレクションシリーズから、主役を織田信長から小柄な徳川家康にスイッチし、様子見としている。北斗の拳を擁するサミーは、系列であるセガが発売したスマホゲームと新しくタイアップし、全くの新作パチスロ機を売り出して、汚点や欠点の洗い出しに努めている。蒼天や獣王、ツインエンジェルやコードギアス等、様々なブランドを持っているサミーが、敢えて新しいタイアップとしたのは、猛バッシングの大コケとなった時のリスクを抑えるために他ならない。しかもそのタイアップ相手も、系列会社制作の新参作品とし、業界他社にまで迷惑がかからないような配慮をしている。皆、慎重だ。
でっかい花火を打ち上げるか、湿気て地上を転がるか。
それにしたって、ユニバーサルの6号機一発目が弥生ちゃんというのはどうなんだ。確かにいきなりドンちゃんの名を付けるのは怖いだろう。他のメーカーと同様に、ブランドに傷がつかないように様子見で、というチョイスがあったものと想像できる。しかし、そもそも一発目の6号機にハナビシリーズを持ってくる必要がなかったわけで、それこそシャドウハーツあたりにしておけばよかったではないか。社長のリスキー長谷川氏が、巷で6号機の一発目はミリオンゴッドシリーズ、と囁かれていることを受けて、「ゴッドではない」と名言していたが、だからといってハナビかよ。
パチンコを含めれば花火と同じように長い歴史を誇るルパンシリーズでさえ、スピンオフは不二子と銭形であり、一時、銭形のパートナーであったデカメロンは全くもって影も形も出て来ないのだ。デカメロン級の知名度しかない性悪女を、由緒あるハナビシリーズの主役に据えるということには共感を覚えない。
弥生の文句は打ってから言え
もちろん、打ちもせずに苦言を呈しているのは愚の骨頂であり、はしたなく、みっともない。果たして、打ってみた結果この気持ちがどう変化するのか。ATとCZの確率差がえげつないところなど、主役は銭形2に似ている。