4年前のデビュー以来、未だ優出の経験がないままではあるが、着実に勝率とスタートタイミングを向上させている元最年少レーサーの生田波美音選手(B1/20歳/東京/124期)。身長も伸び続けていることは大いなる不安材料だが、昨年もA級到達が近そうな成績を残している。
着実な進化

上掲の通り、ボートレース勝率こそ5点台には届かなかったものの、年間26勝は自己ベスト10勝をダブルスコアで突き放す快挙だ。平均スタート順も3.7番目から2.9番目と押し上げており、全6艇のうち半数以上より前に出たスタートを決めることが出来ている。新年明けての初節こそ途中欠場となってしまったが、今年こそはの期待を背負い気合を全身に滾らせ、何は無くともまずは初優出を目指すところだ。
寒波を忘れさせる熱きレースを期待して
2023年1月25日。殺人的寒波に襲われた日本列島において、鮮やかに晴れ渡ったボートレース浜名湖では「中日スポーツ ゴールドカップ」が開催の初日を迎えていた。ゴールド、カップ、とはいうものの、男女混合の極めて平々凡々たる一般戦である。
前節で年明けと共に晴れたと思われた好モーターを活かせなかった事実による呪いがまだ作用しているのか、今節も下から数えた方が早い成績のモーターを手にしてしまった生田選手。優出は期待薄かと思われたが、何が起こってもおかしくないのがギャンブルではあるし、実際に事は起こった。
一走目の生田選手は三号艇をあてがわれ、男子連中と共に走って当然のごとく5着であった。2連対率22%程度のモーターを擁しているから、単純計算で4回走って1回でも2着以内に来れば儲けもの、といった具合であることを考えると、思うところも何もない結果に帰結しているといえよう。
予選特賞、女子のみ。優遇??
事件は二走目。女子のみで組まれた予選特賞で起こった。出走メンバーは下表の通りである。

オールB級の小粒な面子で勝機を感じさせないこともないが、生田選手にお供するモーター勝率はやはり最下位で、当地4.88といえども全国で5.44というA級でもおかしくない勝率を誇る大ベテランが一号艇に鎮座していることを考えると、なかなか五号艇を頭では買いにくい。すぐ内のB2級とさらに内のB1級、両後輩選手の平均スタートタイミングが生田選手よりも0.05遅いことから、スタートで両者が凹んでくれれば一息に……という予想も立ちそうだが、如何せんさらに二梃も内にいるとなっては難しい。

オッズでもやはり一号艇が順当に1着を取ることが期待されていることがわかる。一桁台の倍率が無いのは、あくまで2着を絞れないからだろう。1-2、1-3、1-5で10倍台のオッズが散見されるし、1-6でも生田選手の腕が買われての1-6-5が30倍程度を付けている。しかし、生田選手アタマの舟券は5-1-2の39.1倍が最低値で、舟券師たちの期待としては、あくまで道中立ち回っての2,3着、とされていることが伺える。1着となるとやはり一号艇なのだ。
しかし、スタートが切られてから程なくして、ヒモの選定で頭を抱えていた舟券師たちの精神は、勝利の女神に嘲笑われながら奈落の底に突き落とされていたのだった。
素人の肉眼では不祥事が見えない。

やはりデータは裏切らない。平均スタートタイミングが示す通り、B2選手の四号艇はスタートで後手を踏み、外ながら生田選手五号艇は優位となった。ここから捲り、もしくは捲り差しが入るかどうか、といった展開である。下掲の通り生田選手は精一杯の仕事をこなす。



四号艇を飲み込んだ勢いのまま、三号艇へ横づけし、ツケマイ敢行、かつ一号艇の内へ差しハンドルを入れようと、これ以上やりようのない完璧な仕掛けっぷりであったが、モーター性能や体重差もあって流石に届かない。一号、二号に次ぐ力と技の3番手で1マークを回り切り、ここから2番手へ上がれるか、それとも舟券外に零れてしまうのか、白熱のレース展開が巻き起こる構図であった。しかし、そこでスタート判定の結果が知らされる。

なんと、棚ぼたも棚ぼた。大変な事態が巻き起こっていたのだった。生田選手の行く手を阻んでいた二梃は、外行く一号艇と内で減速する二号艇という、観音開きよろしいかたちで姿を消し、生田選手五号艇の眼前には、雄大に広がる浜名湖と、晴れ渡った青い空のみが残されることとなったのである。

映像で見るとピンと来ないが、数字で表されると内側の二梃は結構やんちゃな踏み込みを見せていたことがわかる。生田選手は、今年初の勝ち星を、自身初の恵まれ決着として手に入れた。なんとも達成感の薄い勝ち方であるが、裏を返せば、今まで積み重ねた通算45勝という数字は、しっかりと自力で戦い抜いて捥ぎ取って来たということだから、過去を振り返って誇るのも一興だろう。
滑り出しに幸運も、艇足と噛み合わず。
この勝利で今節の得点率は6.00。ランキングでは同率15位に付けることとなった生田選手。一走目の状況を見るに優出への道は険しそうだが、幸運の女神も微笑んでおり、ファンとしては希望を捨てずに見守っていきたいところだろう。
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