【2019年】第53回スプリンターズステークス【厩舎コメントはこれ】


いよいよ中央競馬界が秋のG1戦線に突入する。杮落としは例年通り中山競馬場で開催される、短距離王者決定戦として押しも押されもせぬ格付を誇るスプリンターズステークスである。

春に開催される同距離のG1と異なりゴール前の直線が非常に短いため、後方からの巻き返しは一苦労を要する。つまり、こと本走においては出足の良し悪しこそがレース展開に多大な影響を及ぼす要因となっているのである。馬券ファンは、スタートの直後に「いやぁぁあ!イカァン!」と泣き叫ぶことが出来る。その点で、本走はボートレース愛好家の方々にもお勧めしたい。今年は出走16頭のうち牝馬が半数を占めており、女子レーサーが多いボートレースとの共通点は意外にも多い、かもしれない。

さて、日刊競馬、勝馬、優馬の三紙における各陣営のコメントをまとめてみたのでご参照されたい。

一枠1番:アレスバローズ(牡7・菱田裕二・西)

角田師=「前走はスタートでトモを落とし、躓いて流れに乗れなかった。レース後はいつも通り短期放牧を挟んでの調整。先週しっかりやったし輸送もあるのでサラッとやった程度だが、状態は引き続きいい。G1で通用するだけの能力はあるはず。昨年は雨馬場がこたえ全然力を出せなかった。7歳になったけど衰えはないし、今年はなんとかパンパンの良馬場で走らせたい。」

<のじ山の雑感>夏競馬、小倉の1200m戦では18頭中の17番手を追走し、後半の600mをメンバー最速の34.3秒で駆け、終わってみれば人気通り6着まで盛り返し、G3での入着を逃した。もしスタートが良ければ、とタラレバを夢想したくなる陣営の気持ちもわからないではないが、春の高松宮記念でさして目立つこともなく9着に敗れている本馬に、「G1で通用するだけの能力はあるはず」と自信を持ってのたまう精神力には首を傾げざるをえない。しかし、今日も明日も中山では雨が降らないようだ。

一枠2番:ダノンスマッシュ(牡4・川田将雅・西)

安田隆師=「函館で(飼料問題による競走除外の)アクシデントはあったが、すぐに牧場へ帰してキッチリ調整ができたのが良かったよ。前走は外目を回って抜け出して強かったね。今週の追い切りに跨ったジョッキーも前回より良くなっていると言っているし、好感触を持ってくれた。使って更に状態は上向いている。右回りは合っているし直線の坂も全く気にならない。枠や展開は気にはなるが、勝つための条件はそろったと思う。良い結果を期待したいね。」

<のじ山の雑感>春の短距離G1で堂々の一番人気を背負って4着に敗れるという失態を演じた本馬。しかし当時は外枠であったし、何より調教師がうっかり「完成はまだ先」と口を滑らしてしまう程度の成長状態だったのである。ひと夏越えての本格化は十分に可能性がある。夏の間に札幌のG3を一番人気できっちりと差し切っており、その鞍上が本走について「前回より良くなっている」と言っているのだから、これは侮れない。

二枠3番:セイウンコウセイ(牡6・幸英明・東)

上原師=「このレースは過去11、12着だが、いずれも6月函館からの直行、休み明けで使った。今回は8月に一度レースを挟んだからね。斤量を背負っていたし勝負所で揉まれる格好になったけど、最後は盛り返して精神面の成長も見られたように、内容も良かった。一叩きしてのぶん息持ちが違うはずだし、気も入っているし、例年とは全然違う。中山も経験が少ないだけで気分良く走れれば大丈夫。改めて期待を。なんとか結果を出したい。」

<のじ山の雑感>高松宮記念では好スタートから驚きの粘り込みを見せ、直線では一旦先頭に立ち、そのまま2着の座を守りきった本馬。十二番人気馬とは思えぬパフォーマンスであった。前走はG3だが、斤量58kgは最も重かったものの、師の言う「揉まれる格好になった」という「勝負所」が一体どこなのかリプレイを何度見てもよくわからない。「最後は盛り返し」たという程の粘り腰も特に見られず、14頭立てを三番手で先行していた五番人気馬が6着に残った、というだけの至極ありきたりなレース内容に見えてしまうのである。惨敗続きの例年とはローテーションが異なるため、「全然違う」と語気を強め、「なんとか結果を出したい」と鼻息荒く意気込むが、果たして如何ほどのものだろうか。いずれにせよ、「気楽に挑みたい」と言っていた春の陣営は、G1で銀メダルを手にしたことにより、年号に連れられてどこかへ消えてしまったようである。欲が出すぎてはいないか。

二枠4番:リナーテ(牝5・三浦皇成・西)

須貝尚師=「使ってきているし、2週前に坂路で自己ベストの49秒台が出ているのでここ2週は単走で調整程度と控えめにしたが、動きは良く毛艶はピカピカでデキは生涯最高と言えるくらい良い状態。強い相手に善戦してきたし、輸送慣れしているのも強味。成長した今の充実ぶりなら、G1でどんな競馬でどこまでやれるか楽しみ。」

<のじ山の雑感>出走した四つの重賞で3着一回2着二回、唯一掲示板を外したレースも16頭立ての7着と、まさしく「強い相手に善戦してきた」本馬。父はステイゴールドだから、なるほど納得といきたいところだ。しかし、四つのうち牝馬限定の重賞が二つあり、G2は一つしかない。この実績で、「強い」馬を相手取って互角の戦いをしてきた、と言い切っていいものだろうか。G1には及ばない程度の馬たちに、勝てないまでもそんなには負けていません、というだけの存在でありはしないか。そんな本馬でも「自己ベスト」、「生涯最高」という状態らしいから、「どこまでやれるか楽しみ」ではあるが、信頼して銭を託すに足るかといえば、首を傾げざるを得ない。

三枠5番:レッツゴードンキ(牝7・岩田康誠・西)

梅田智師=「夏場は無理をせず時間をかけてジックリと調整してきた。2年前にヴィクトリアマイルからの休み明けで2着に好走しているように久々は問題ないが、年齢的にズブさが出てきて以前の走りができるかどうか解らない。どこまでやれるか。力を出し切って欲しいところ。」

<のじ山の雑感>条件戦ならいざ知らず、G1競走の直前においてここまで弱気なコメントを出すのも珍しい。しかも本馬は腐ってもクラシックホース、桜花賞馬であるにも関わらずである。つい半年前のコメントで「7歳でも衰えた感じはしないし、今年こその気持ち」なんて大きく出ていたほどの熱量が、微塵も感じられない。「時間をかけてジックリと調整してきた」のに、「以前の走りができるかどうか解らない」わけがなかろう。答えは既に出ているのだが、期待する関係者のためにも口をつぐんでいるのである。散って久しい桜の木。全ての葉が落ちるまで、ファンは見守らねばならないのか。

三枠6番:ノーワン(牝3・内田博幸・西)

笹田師=「春はクラシックに挑戦し、オークスでは距離を保たせる調整をしたが結果的にスタミナ不足だった。本質的に距離が長かった。短距離でキレを生かした方が持ち味を生かせる。ひと夏を越して馬体に充実感を感じているし、シッカリと調教を積む事ができたので先週段階でほぼ態勢は整った。今週は内田騎手に感触をつかんでもらって力を出せる仕上がり。相手は強くなるが、メドの立つ走りを期待。古馬との斤量差を生かして頑張ってほしい。」

<のじ山の雑感>これほど記者と読者を小ばかにしてきた人が他にいるだろうか。1600mを走らされる桜花賞の時点で、それより短い「1400mの方が切れる脚を使えるのかもしれない」と言っていたのに、そこで本馬が惨敗した後、そのまま更に距離がある2400m戦のG1へと駒を進めるという、その無秩序な振る舞いがまず凄い。しかも距離延長については、「長く脚が使えるように息が続くような調整をして(中略)血統的にもこなせると思う」と厚顔無恥にも程がある大胆発言で太鼓判を押しているのである。勿論そのG1で本馬はキッチリと最下位に沈み、発言者の虚言を盛大に暴いてくれた。そして今回である。「本質的に距離が長かった。短距離でキレを生かした方が持ち味を生かせる。」と、まるで本走へ臨むにあたってようやく気がついたかのような物言いだが、上述の経緯から、もともと師は本馬が短距離馬であることを知っていた筈なのだ。クラシックレースを特別視する馬主など様々な関係者の手前、春の間は強気な姿勢を見せるべく、自分と記者に軽々しく嘘をついていたに過ぎない。今回のコメントがどこまで本音なのか、無論それは結果が出るまでわからない。しかし、「ほぼ態勢は整った。」という言葉に含まれる副詞や、あくまでも「力を出せる」程度の「仕上がり」に過ぎないという点、そして極めつけの「メドの立つ走りを期待。」という勝つ姿勢を全く感じさせない結びから、弱気も弱気の内容であることが透けて見える。強気な嘘を付いていた春季とは一変しているのは、古馬との対決だから、というだけではないだろう。恐らく、こちらは師による本馬への本当の評価なのではないだろうか。

四枠7番:モズスーパーフレア(牝4・松若風馬・西)

音無師=「中2週だった高松宮記念の結果からセントウルステークスを使わないのは予定通りだよ。前走については体が太かったし、ハナに行って欲しかったね。今週の水曜に追った後の計量で512kg。カイ食いはいいが、しっかりとやってきたし、動きも良かった。長距離輸送もあるので、前走より絞れて出せればいいね。パワーがあって中山実績十分。引きつけずに四角で後続を離すようなレースをさせたい。逃げに徹して、この馬のスピードを生かす競馬を。それで止まったとしても納得がいく。」

<のじ山の雑感>外枠から無理を重ねて先頭を奪い取り、見事に逃げつぶれた春の高松宮記念。鞍上は平成の大天才、武騎手であった。乗り替わった前走は、外枠ながら楽に逃げられそうだったところを我慢して運んだ。これが功を奏さず、結果はほぼそのまま粘りこんでの4着であった。二番人気を背負っての15着という大失態を演じた大先輩を見ていれば、松若騎手が番手に控えたくなる気持ちは痛いほどわかる。しかも本馬は当時、高松宮記念出走時より26kgも重かったのである。常識的に考えれば重さの分、速度と持久力は失っているわけで、逃げて疲弊を急ぐのは避けたいところであった。着順は人気を下回ってしまったが、悪くはない内容だろう。しかしそれを、「ハナに行って欲しかったね」と不満気に語る師は、若者の心を掴めていないように映る。さて、あれからさらに馬体重は増え、今週の時点では前走時+6kgだ。「前走より絞れて出せればいいね。」という言葉から漂う投げやりな雰囲気が、480kg当時に戻ることは最早不可能な気がする、と教えてくれている。それでも「逃げに徹して」欲しいのだという。高松宮記念の再現よろしく逃げ潰れても「納得がいく」らしいが、師や馬主が納得しても、現場で野次を浴びる騎手はどうだろうか。

四枠8番:タワーオブロンドン(牡4・ルメールクリストフ・東)

千島助手=「前走は四角の手応えも十分で直線一気に突き抜ける強い内容。スプリンターとして開花してきているし、道中をうまく折り合って運べれば。」

津曲助手=「短期間での3戦目だけど、疲れはないよ。むしろ順調だし、体が引き締まって充実、良い状態だね。前走は持ったまま追走出来たしレコード勝ち。強かった。この距離の競馬を覚えたね。ペースが速くなるのは歓迎で、この相手でも楽しみだよ。」

<のじ山の雑感>前走は1200mのG2で、中団に控えてレースを進め、後半600mをメンバー最速の33.2秒で駆け上がり、2着馬に3馬身の差をつけて、阪神1200mのコースレコードを更新した。「ペースが速くなるのは歓迎」だというから、どうしても前に行きたい馬がいる本走の展開も打ってつけで、文句のつけようがない。強いて不安要素を挙げれば、8月25日、9月8日、と数週間程度の間隔で立て続けに走らされていることで蓄積されているであろう、見えない疲れといったところだろうか。「むしろ順調だし、体が引き締まって充実、良い状態だ」という助手の言葉をどれだけ信用するかで、馬券の構成が変わってくる。グリグリの差し切り◎と全幅の信頼を置くか、3着には確実に滑り込むだろうとやや用心するか。

五枠9番:ディアンドル(牝3・藤岡佑介・西)

奥村豊師=「前回は2着だったが次へ繋がる良い内容だった。レース後はいつも通り放牧を挟み、先週、今週と最終追い切りはしっかり動けたし反応もいい。中間のゲート練習ではそわそわしたところも見せなかった。態勢は十分整ったよ。基本的に立ち回りが上手な馬で中山も経験済み。G1でさらに相手が強くなって、どこまでやれるかな。良いパフォーマンスができるように最善を尽くして臨む。」

<のじ山の雑感>背伸びしてクラシックに挑戦して惨敗を繰り返したノーワンとは異なり、本馬は春から短距離路線一辺倒であった。同世代相手の1200m戦は、2着に破れた新馬戦を除いて五戦全勝。押しも押されもしない世代最強短距離馬だ。古馬との初対戦となった前走でも、太めだったとはいえモズスーパーフレアを交わしての2着入線であり、3歳短距離馬の代表として乙女の意地を見せ付けた。「さらに相手が強くなって、どこまでやれるかな」と陣営のみならずファンも楽しみな参戦である。少なくとも同い年の他4頭よりは先にゴールまで駆け抜けてほしい。

五枠10番:ラブカンプー(牝4・酒井学・西)

森田師=「使いながら状態は緩やかに上向いている。筋肉が9割方戻ってきたよ。レースで行ってしまうからメンコをつけている。前走も速いペースで止まったが、レース2日前に着けたメンコの効果がまだ出ていなかった感じ。今回は着用の効果もあるので、メンコをつけると坂路でもガーッと行かなくなっている。最近の成績がもうひとつだが、昨年2着のレース。当日もメンコの効果が良い方に出て折り合いがつけば。」

<のじ山の雑感>昨年は追い切りで走るのをやめて実戦で動いていたのに、今年は追い切りで動き、実戦でやめてしまう」という、馬が何か大きな思い違いをしているのではと勘繰りくなるようなスランプに陥ってはや九ヶ月。1月27日のG3から7月28日のG3まで、四戦して全て最下位という結果が、その重症度を色濃く彩って伝えてくれる。8月18日のG3でようやく殿負けを脱したものの、その着順は18頭立ての17着。前走のG2は13頭立ての11着に過ぎず、スランプ脱却とは縁遠い。前向きな発言をしようにも、「状態は緩やかに上向いている」という表現が精一杯だ。しかし、コメントに何度も登場する「メンコ」がこの状況を打破してくれる、らしい。「メンコをつけ」「メンコの効果が」「メンコをつけると」「メンコの効果が」と、陣営はやたらと語気荒く強調してくるが、はっきり述べて眉唾である。メンコの導入は今回が初ではない。前走でも付けていたのに11着だったのだ。「レース2日前に着けたメンコの効果がまだ出ていなかった」等ということが有り得るのだろうか。覆面を着けられたことに丸々2日も気が付かないほど、サラブレッドとは鈍感な存在なのだろうか。もちろん着用しっぱなしではないにせよ、着脱の作業を少なくとも3回は経験している筈で、全く気にならないわけはなかろう。また、「筋肉が9割方戻ってきた」という発言もよくわからない。暴走して失速する、という負けっぷりに、筋肉の衰えなどあったのだろうか。折り合いの問題ではないのだろうか。「戻ってきた」ということは、馬体ではないどこかへ行っていたということで、それはどこなのだろうか。

六枠11番:マルターズアポジー(牡7・丸山元気・東)

堀井師=「前走はスタートで滑って躓いたし、ペースもきつかった。ただ、あの厳しい流れを経験したことが、今回に繋がるハズ。体調面は申し分ないよ。先週の時点で体はできていたし、直前は予定していた併せ馬にはならなかったものの、結果的にビシッと追えて動きも時計も抜群。初の1200mでペースの違いに戸惑うかもしれないが、ここも小細工なしにスピードを生かした競馬ができれば。」

<のじ山の雑感>前走はG3。ただしダートの1700m戦という、本走とは趣きがだいぶ異なる条件下を先団で進めて最下位であった。「きつかった」という前半の流れは、確かにダートの中距離戦としては異例のハイペースであり、スタート後100mから300mまでの200m間のタイムはなんと10.6秒に過ぎなかった。芝の短距離戦と比してもそこまで見劣らないため、師は「厳しい流れを経験したことが、今回に繋がる」と噛み締めるように述べているが、果たして短距離のエキスパートたちを相手に、「小細工なしにスピードを生かした競馬」など披露できるのだろうか。他馬の前走を見ると、前半だけでも200mごとのタイムで10.1秒、10.3秒、10.8秒といた数字がゴロゴロと並んでいるのである。

六枠12番:ダイメイプリンセス(牝6・秋山真一郎・西)

森田師=「追い切りは終い重点だが、中2週だからこれで十分。モヤッとした脚元もスッキリしているし、レース中に負った外傷も影響なさそう。今は問題なし。今年は昨年よりメンバーは強力だが、秋山騎手なら最初から前に行き過ぎないだろうし、この馬のリズムで運べそう。昨年も善戦したし前走もいい脚を使ってくれた。今年もいいレースを期待したい。もう少しやれるはずだからね。」

<のじ山の雑感>G2の前走は、鞍上に川田騎手を迎えて四番人気に支持されていたものの、直線で同枠の馬と接触し、そのまま抜け出し切れず6着に終わった。前々走のG3では秋山騎手を背に九番人気からの勝利を収めており、今回は相性の良かった鞍上に戻ったかたちとなる。「昨年も善戦したし(中略)今年もいいレースを期待」すると言うが、その直前に「今年は昨年よりメンバー」が「強力」と述べているから、じゃぁ昨年は善戦したけど今年はダメっぽいってことじゃん、と斜に構えてしまいたくなる。「もう少しやれるはずだから」という結びが切ない。

七枠13番:ミスターメロディ(牡4・福永祐一・西)

藤原英師=「前走は十分な休憩を取って体調は良かったが…。結果が出ず申し訳なかった。左回りと比べてパフォーマンスが落ちたのでその課題を修正しながら、使って良く上向くように馬体を造ってきた。先週末と最終追い切りに鞍上が跨って感触を確かめてもらい、態勢は整った。能力はトップクラスだし、自信を持って本番へ臨む。いいレースを期待。」

<のじ山の雑感>直線の長い中京を、先行抜け出しの王道競馬で攻略してみせた高松宮記念の覇者が、春秋連覇を見据えての登場だ。休養明け初戦の前走G2は、二番人気に甘んじた挙句にそれを大きく裏切っての8着となり、これには師も陳謝せざるをえない。「左回りと比べてパフォーマンスが落ちた」という反省の弁は、これからの馬券購入者を大いに不安たらしめる。「その課題を修正しながら(中略)良く上向くように馬体を造ってきた」という師の善後策をどこまで信じるかが馬券選択の分かれ目だ。「態勢は整った」、「能力はトップクラス」という二つの文言に含まれたテニオハが、なんだかファンの心をグラグラと揺さぶるのである。本当に「自信を持って」いるのだろうか。ただ、高松宮記念当時は、「そんなに差はないハズ」という実に奥ゆかしいコメントで勝利をもぎ取っているから、案外アッサリと勝ち切るかもしれない。

七枠14番:ハッピーアワー(牡3・横山典弘・西)

武幸師=「坂路がある栗東に戻って調整がしやすくなったし、前走時よりシッカリと乗り込めている。馬体に張りが出てきたし状態面の上積みは大きいはず。良化中だよ。古馬の一線級を相手に今の力でどこまでやれるかはっきりしないが、見てみたいと思っているんだ。G1だが、デキが良い時に出走順も回ってきたから、チャレンジする価値はある。」

<のじ山の雑感>前走のG3で初めて古馬と対戦し、後方から特段の見せ場なく10着に敗れた本馬だが、その敗戦理由はあくまでも調教が足りなかったことらしい。当時「よりシッカリ乗り込」んで、「馬体に張りが出て(中略)良化中」らしいが、果たしてどうだろうか。何しろ師も「古馬の一線級を相手に今の力でどこまでやれるか」掴みきれておらず、「見てみたいと思っているんだ」という。無邪気なものだ。ただ、「デキが良い時に出走順も回ってきた」という、不自然な巡り合わせの良さを鑑みると、そう簡単に見切ることはできまい。何しろ、騎手時代の初勝利が十一番人気馬に跨っての重賞勝ちである師と、奇抜な騎乗術で穴馬を走らせる大ベテランの鞍上が東西の境を越えてコンビを組んでいるのである。

八枠15番:イベリス(牝3・浜中俊・西)

角田師=「1週前にビシッとやっているし、長距離輸送も考慮して今週は馬なりだが、稽古の動きは申し分ない。前走は久々だったし、メンバーを考えても良く頑張っている。1度使って気合い乗りが良くなったし、上積みが見込める。デキの良さを生かしたいね。極端に揉まれなければ、控える形も問題ない。斤量差もあるし、積極的な競馬をして、スムーズにロスなくリズム良く運んで粘り込めれば理想的。」

<のじ山の雑感>「久々だった」前走は、レコード決着のG3を、果敢に先行して3着に入線した。3歳、牝馬、4ヶ月振りの実戦、という不の要素を悉く打ち負かすという大健闘であった。そこからさらに「上積みが見込める」のだから関係者としてはワクワクが収まらないだろう。しかし、「控える形も問題ない。」と言った直後に、「積極的な競馬をして」と、一転して無理をしてでも先団好位置に、とも受け取れる発言を行い、挙句「スムーズにロスなくリズム良く」、と折り合い最重視の騎乗を「理想的」だと結んでいるあたりに、なんだか不安を感じる。一体全体乗り役はどう動けばいいのだろうか。あくまでもこれはマスコミに向けて適当に耳あたりの良い発言を乱発しているだけで、騎手には正しい指示が飛んでいるのだろうか。そもそも「粘り込めれば」とはやや弱気に過ぎるのではないだろうか。

八枠16番:ファンタジスト(牡3・武豊・西)

梅田智師=「2走前は気持ちが入らず競馬にならなかった。メンコを外すなどヤル気を出させるように調整した前走で行きっぷりが一変したし、負けだけど速い時計にも対応できた。この馬本来の走りができたと思う。状態はさらに良化しているので、このメンバーでもどこまでヤレるか楽しみにしているよ。」

<のじ山の雑感>2走前のG3が14着、前走のG3が2着と、陣営の苦心が見事に実を結んだ。しかもレコード決着の流れで掴み取った連対である。「速い時計にも対応できた。」と師が自信を深めるのも当然だろう。「状態はさらに良化している」のだから、師の心は「楽しみにしている」気持ちで溢れんばかりといったところだろうか。「ヤル」だの「ヤレる」だの、見境無く興奮している様からも期待の大きさが伝わってくる。水を差すようだが、鞍上は前走時の騎手ではなく、2走前当時の騎手が復帰している。また、これまで経験したG1はNHKマイルC、皐月賞、朝日杯FSの三つであるが、全て人気以下の着順で敗れていることも付記しておく。


労働階級からの解放を志し、収入のアテもないのに突然脱サラ。後先考えないその姿勢に後悔しきり。

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